1. 社用車の事故で問われる「責任」について
社用車を使用している際に事故を起こしてしまった場合、運転者だけでなく会社も責任を負うことになります。
ただし、どの程度の責任を会社が負うかは、運転者の過失や事故の状況により異なり、一概には言えません。
例えば、会社が運転者に対して相応の注意をしていたかどうかで左右されることもあります。
従業員が車の事故を起こした際、会社と従業員それぞれの責任や賠償の負担がどうなるかを知っておくことは、リスク管理する上で重要です。
本記事では、事故時の会社と従業員の責任範囲や具体的な賠償内容、事故が発生した際の適切な対応について詳しく解説します。また、事故を未然に防ぐためのサービスについても触れていますので、ぜひ参考にしてください。
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社用車で事故を起こした場合、運転者と企業それぞれどのような責任が生じるのかご確認ください。
また、事故が起きてしまったときは迅速かつ適切な対応が求められます。本資料では事故現場での対応チェックリストも用意していますで、ぜひご活用ください。
※この記事は2024年10月31日時点の情報を基に執筆しています。
社用車を使用している際に事故を起こしてしまった場合、運転者だけでなく会社も責任を負うことになります。
ただし、どの程度の責任を会社が負うかは、運転者の過失や事故の状況により異なり、一概には言えません。
例えば、会社が運転者に対して相応の注意をしていたかどうかで左右されることもあります。
事故を起こした従業員自身には当然ながら責任が発生します。
運転者は、具体的には「民事責任」「刑事責任」「行政責任」の3つの責任を負う可能性があります。
まず、民事責任としては、民法709条に基づいて人身事故における被害者や物損事故における物への損害を賠償する義務が問題となります。
次に、刑事責任としては、万が一人を傷つけたり命を奪ったりしてしまった場合、刑法や自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律に基づき罰金や懲役等が科せられる可能性があります。
また、物損事故では、わざとぶつけたような場合は刑法の器物損壊罪等に問われる可能性も十分考えられるでしょう。
最後に、行政責任としては、公安委員会の基準で運転免許の停止や取り消し等の処分を受けることがあります。
(不法行為による損害賠償)
第七百九条
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
引用:民法 第七百九条
勤めている従業員が業務中に社用車で交通事故を起こしてしまった場合、会社には「使用者責任」と「運行供用者責任」の2つの責任が生じる可能性があります。
1つずつ見ていきましょう。
■使用者責任
民法第715条における使用者責任とは、会社などの使用者が従業員(被用者)の不法行為によって第三者に損害を与えた場合、従業員とともに連帯して責任を負うこととされている制度です。
交通事故も不法行為の一種のため、従業員が業務中に交通事故を起こした際には、この使用者責任が適用され、会社も損害賠償責任を負う可能性があります。
(使用者等の責任)
第七百十五条
ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。
2 使用者に代わって事業を監督する者も、前項の責任を負う。
3 前二項の規定は、使用者又は監督者から被用者に対する求償権の行使を妨げない。
引用:民法 第七百十五条
■運行供用者責任
運行供用者責任とは、自動車損害賠償保障法(自賠法)第3条に基づき、他人に被害を与えた場合に負う責任のことです。
(自動車損害賠償責任)
第三条
自己のために自動車を運行の用に供する者は、その運行によって他人の生命又は身体を害したときは、これによって生じた損害を賠償する責に任ずる。ただし、自己及び運転者が自動車の運行に関し注意を怠らなかつたこと、被害者又は運転者以外の第三者に故意又は過失があつたこと並びに自動車に構造上の欠陥又は機能の障害がなかつたことを証明したときは、この限りでない。
ただ、次の3つの条件(免責事由)をすべて満たした場合、運行供用者は責任を免れる可能性があります。
先述にて、条件を満たせば運行供用者は責任を免れる可能性があるとしたものの、上記の免責事由をすべて立証することができなければ、運行供用者は損害賠償責任を免れることはできないと考えておきましょう。
運行供用者責任を負う立場になり得るのは、例えば以下のような者です。
業務中に社用車で事故を起こしてしまった場合、従業員が業務時間中に不法行為を行ったとみなされ、会社には「使用者責任」が生じる可能性があります。
また、従業員の運転で発生した交通事故に対して、会社も運転による利益を享受しているとみなされ、「運行供用者責任」が発生する可能性もあります。
これらの責任が発生する場合には、従業員と会社が連帯して賠償義務を負うことになります。
出勤や退勤の途中のように、業務時間外で事故が発生した場合でも、業務との連続性が認められる場合には、会社に「使用者責任」や「運行供用者責任」が発生する可能性があります。
例えば、直帰途中での事故は、業務の一環であると見なされる場合があります。
一方で、通常の通勤ルートから外れて私的な行動を行った場合(例:家族との食事)などでは、業務との連続性が途切れるため、会社の責任は発生しない場合もあります。
具体的な判断は、行為が業務の目的と直結しているか、また逸脱が一時的か長時間かといった状況に基づいて個別に行われるため、場合によっては責任の有無が変わる点に留意が必要です。
自家用車が業務に使用されている際に事故が起きてしまった場合の会社の責任については「どのように判断するのだろうか」という疑問を持たれている方もいらっしゃるかもしれません。
本章をお読みいただき。疑問解消にお役立てください。
業務中に従業員が自家用車を使用して事故を起こした場合でも、会社には「運行供用者責任」と「使用者責任」が発生する可能性があります。
このように、業務中である限り、たとえ車両が自家用車であっても会社の責任が生じるケースが多いのです。
通勤や退勤途中であっても、業務と連続性がある限りは業務を行っている最中であると判断できるため、使用者責任や運行供用者責任が発生します。つまり基本的には会社にも事故に関する責任が発生すると考えてましょう。
ただし、例外もあります。
前段で触れた内容ではありますが、通勤や帰宅途中に、普段の通勤ルートを外れて私用を済ませた場合は、業務との連続性がなくなるため、使用者責任も運行供用者責任も発生しない場合があります。
業務との連続性の有無について、一概には言えない部分があり、どのような私用であったかなど状況に応じた判断が必要となってきます。
従業員が業務時間外に私的目的で自家用車を使って起こした事故は、当然のことではありますが会社に利益が発生することはなく、使用者責任と運行供用者責任は生じません。
このケースでは、事故を起こした従業員本人のみが責任を負うことになります。
ここまでは事故が発生した際の責任の所在についてお話してきました。
本章では、損害賠償責任について解説していきます。
「損害賠償責任」とは、法律関係の相手方に生じた損害に対して、その損害を金銭によって賠償する責任のことです。
社用車や自家用車を業務に使用している中で運転者が事故を起こしてしまった場合、会社と運転者の「連帯責任」が問われることが一般的です。
この「連帯責任」とは、会社と運転者の両方が被害者に対してそれぞれ100%の責任を負うことを意味しています。
一方で、法令上では会社と運転者それぞれの負担割合は特に定められていません。
社用車の事故の場合、適用される保険は会社が契約している自動車保険です。
運転者が自身の自家用車で加入している自動車保険は適用されないため、社用車事故に関しては会社の保険がカバーすることになります。
自家用車での事故の場合、会社のマイカー通勤規程がどのように設定されているかで会社の責任範囲が異なります。
例えば、以下の場合であれば社用車の場合と同じく「使用者責任」や「運行供用者責任」が会社に発生することがあります。
対して、会社が自家用車を業務で使用することを全面的に禁止しているにもかかわらず、従業員が勝手に利用し事故を起こした場合には、基本的にその責任は従業員本人が負うことになります。
社用車が事故によって破損した場合、通常は会社が修繕費用を負担します。
なお、労働基準法第16条(賠償予定の禁止)に基づき、就業規則等において従業員に賠償責任の具体的な金額を明記することは認められておりません。
労働基準法第16条は使用者が労働契約の不履行に対して違約金や賠償額を予め定めることができないとする法令です。
(賠償予定の禁止)
第十六条使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。
引用:労働基準法 第十六条
ただし、「社用車が事故で破損した場合、一部の損害額を請求することがある」程度の表記は、就業規則に記載することはできます。
一般的には、軽度の不注意による事故の場合、会社が従業員に損害賠償を求めるケースは少ないですが、再三の指導にもかかわらず事故を繰り返す場合や、故意による事故の場合は、修繕費や賠償金を従業員に請求することもあります。
車を運転する以上、交通事故を起こしてしまう可能性はゼロではありません。万が一の事態でも出来るだけ落ち着いて行動する必要があります。
そのためには「事故を起こしてしまったら、どういう行動をとればいいのか」を事前に把握しておくことがとても重要です。
この章では、交通事故が発生した際にとるべき行動についてお話しします。
事故を起こしてしまった場合、まず車を停め、怪我人の救護と周囲の安全確保を行いましょう。
これは道路交通法における運転者の義務であり、怠ると重大な罰則が科せられる可能性があります。
人身事故で義務を果たさない場合は「ひき逃げ」、物損事故では「当て逃げ」とみなされ、重い罰則が科せられる場合があるため注意しましょう。
怪我人がいる場合は、意識があるかの確認や必要なら心肺蘇生、止血といった応急処置を施し、すぐに救急車を呼びましょう。
また、二次災害の防止に関しても注意しなくてはいけません。
例えば、発煙筒で後続車に事故が発生したことを知らせたり、怪我人や車両を安全な場所へ移動させたりするなどして、周囲の安全を確保してください。
特に高速道路では二次災害のリスクが高いため、より慎重な対応が求められます。
事故を起こしてしまったら必ず警察に報告しましょう。
警察へ事故の報告をすることは、道路交通法上の運転者の義務であることに加え、後日、交通事故証明書を取得するためにも必要となります。
軽度な物損事故であっても、報告を怠れば「報告義務違反」として罰則を科される可能性があります。
警察への連絡は事故現場で110番にて行っても、警察署や交番に実際に出向き、事故を届け出ても問題ありません。
事故を起こすと、運転者だけでなく会社も責任を問われることがあるため、事故後の状況が落ち着いたら、速やかに会社に連絡しましょう。
社用車の場合、自賠責保険に加え、事故による損害を補償する任意保険(対人賠償責任保険や車両保険)にも加入していることが多いです。加入している任意保険を利用して、修理代や怪我人の治療費もカバーする場合が一般的です。
また、会社が搭乗者傷害特約や人身傷害保険に加入している場合、事故を起こした従業員やその同乗者には、保険会社から保険金が支払われる可能性があります。
会社の任意保険を利用するためにも、事故が発生したら、会社へ報告し、保険について確認しましょう。
会社に連絡する際は、事故の事実や現在の状況を冷静に伝え、分かる範囲で必要な情報を提供するように心掛けましょう。適切な情報を伝えることで、保険の利用がスムーズに進む可能性があります。
事故を起こしてしまった場合、後々の示談交渉や訴訟で役立つ場合があるため、可能な範囲で現場の状況を記録しておくようにしましょう。
以下のように事故の状況や情報を記録しておくことをおすすめします。
事故現場は刻々と変化していくため、時間が経つほど証拠を集めるのが難しくなります。
事故直後に証拠を集めておくことが、損害賠償請求の際に大いに役立つでしょう。
事故で怪我をした場合、速やかに病院で診察を受けてください。
事故から時間が経ってから病院に行くと、怪我が事故に起因していると証明しにくくなり、治療費等の請求が適切に認められない場合があります。
事故直後は、興奮状態により痛みを感じにくい場合もあるようです。目立った怪我がなくても一度病院で検査を受け、診断書を発行してもらいましょう。
業務中や通勤中の事故で負った怪我は、労災保険を利用して治療を受けることができます。
労災保険は過失割合に関係なく適用されるため、相手方との争いで十分な補償が受けられない場合でも、安心して治療に専念できます。
ただし、労災保険が適用される事故については、健康保険を使用することができない点に注意が必要です。
①警察を呼ばず、その場で示談してしまう
警察を呼ばずに事故処理を終えてしまうと、交通事故証明書が発行されず、自動車保険が使えなくなる可能性があります。
そのため、後日「首が痛い」などの症状が出たとしても、適切な補償が受けられなくなってしまいます。たとえ軽い事故であっても、警察への通報を忘れないようにしてください。
②勝手に念書などの書面を書く
事故を起こしてしまった場合、気が動転することもあるでしょう。
しかし「今回の事故の過失はすべて私にあります」「○○円を損害賠償として支払います」などといった内容は、絶対に書いてはいけません。
これらの書面が示談として法的に有効となり、後々不利になる可能性があります。
特に社用車の事故では、会社に予期せぬ損害をもたらす恐れがあるため、パニックになって個人的な判断で行動するのは避け、冷静に対応するよう心がけてください。
保険会社や弁護士を立てる場合は、細かな点についても弁護士に相談し、適切なサポートを受けるようにしましょう。
③見舞金などを贈る
社用車で事故を起こした場合でも、会社から相手に見舞金などの金品を贈ることは避けるべきです。示談交渉や賠償については、必要な保険金が保険会社から支払われるため、個別に金銭的な対応をする必要はありません。
企業が関わっているからといって、無理な要求をされる可能性もあります。こちらに非がある場合であっても、保険会社や弁護士と相談しながら適切に対応することが大切です。
従業員が交通事故を起こした際、会社は多くの場合、使用者責任や運行供用者責任を負うことになります。
そのような事態を防ぐためには、常日頃から従業員に交通安全への意識を高く持たせることが重要となります。
「使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない」と労働基準法第16条で規定されているため、社用車事故の際の具体的な金額負担などを就業規則に明記することはできません。
しかし、業務時間外での社用車利用に関する罰則や、社用車および自家用車の利用時の禁止事項、従業員の責任範囲などを明確に定めて周知することで、従業員の意識向上や事故防止につながります。
また従業員が安全に配慮しながら社用車を利用し、結果的に事故を抑止する効果も期待できるでしょう。
従業員に初めて社用車を運転させる際は、事前に就業規則や車両管理規程の内容をしっかり周知するようにしてください。
事故が発生した場合に備えて、すぐに連絡を入れるべき社内外の連絡先、保険証券や車検証の保管場所、事故対応のフローについても教育しましょう。
こうした準備と教育を徹底することで、従業員が落ち着いて適切に対応でき、事故後の対応もスムーズになります。
運転前には点呼を行い、アルコールチェックを含めた健康状態や当日の業務内容を確認しましょう。任せている業務量が過多になっていないか、顔色が悪くなっていないかなど、普段と異なる様子が見られる場合には、声をかけて体調を確認してください。また必要に応じて配置を変更するなどの配慮を行うことも重要です。
従業員の安全と事故の防止を第一に考え、適切な運行管理を心がけましょう。
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