3. 車両管理規程に関係する法令
車両管理規程を作成する際には、関連する法令にも注意が必要です。法令には、例えば民法第715条「使用者等の責任」と道路交通法第74条の3「安全運転管理者等」があり、企業にとって重要な法令です。この法律に基づき、安全運転管理者を選任し、運転前のアルコールチェックやながら運転の禁止などの管理を行う必要があります。それぞれの法令について解説します。
民法第715条「使用者等の責任」
車両管理規程は、従業員が業務中に事故を起こすと、「使用者責任」に基づき企業が損害賠償責任を負うことがあります。このような立場に立つ企業として、車両管理規程の作成は重要であると言えます。
(使用者等の責任)
第七百十五条 ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。
2 使用者に代わって事業を監督する者も、前項の責任を負う。
3 前二項の規定は、使用者又は監督者から被用者に対する求償権の行使を妨げない。
引用:民法第七百十五条
民法第715条に基づき、企業は従業員が業務中に第三者に与えた損害の賠償責任を負う可能性がありますが、少しでも事故発生のリスクや損害を軽減するためには、適切な監督や注意喚起を行うことが重要です。企業は車両管理規程を作成し、従業員に対して安全運転の徹底や事故時の対応方法を日頃から指導し注意喚起を行うことで、事故の回避に加えて、万が一の事故の際に損害を軽減できる可能性があります。
道路交通法第74条の3「安全運転管理者の選任」
安全運転管理者とは、企業が所有・管理する車両の安全運行を確保するために選任される者で、道路交通法第74条の3に基づき、企業が一定の台数以上の車両を使用する拠点(事業所)ごとに設置を義務付けられています。安全運転管理者は、年齢や運転管理の経験など、内閣府令で定められた資格要件を満たしていることが必要です。
選任された安全運転管理者の主な業務は、運転前後のアルコールチェックや、ながら運転(スマートフォンなどを使用しながらの運転)の禁止を徹底することです。また、従業員の健康状態の確認や安全運転に関する教育の実施も担当し、企業内の交通事故リスクを減らす役割を果たします。これらの業務を通じて、企業は従業員の安全を守り、社会的責任を果たすことが求められます。
参照:道路交通法第七十四条の三
4. 車両管理規程に記載すべき9項目
車両管理規程には、最低限記載しておくべき9項目です。
- 安全運転管理者の選任(責任の所在について)
- 車両管理台帳の作成(車両の管理)
- 事故発生時の対応・費用負担
- 業務でのマイカー使用について
- 車両の点検・整備(社用車)
- 安全運転の確保
- 保険の加入条件
- 社用車の私的使用の禁止について
- 従業員が規程に違反した場合の罰則
順番に見ていきましょう。
1. 安全運転管理者の選任(責任の所在について)
まず、企業は、自動車を一定台数以上使用する事業所ごとに安全運転管理者を選任する必要があります。安全運転管理者は、従業員が道路交通法を遵守して運転するよう監督し、企業の車両運行を安全に保つ役割を担います。
安全運転管理者の選任は、社用車を5台以上使用する事業所のある企業等に対して義務付けられており、車両管理規程に安全運転管理者を選任する旨を明記することが重要です。また、安全運転管理者は選任後15日以内に公安委員会に届け出る必要があり、違反すると最大5万円の罰金が科される可能性があるため注意が必要です。
参照:警察庁「安全運転管理者制度の概要」
2. 車両管理台帳の作成(車両の管理)
車両管理台帳は、社用車を適切に管理していることを証明するためのものです。台帳には、車両を特定するための情報や、車両の状況を把握するための詳細な項目を記載します。
【車両を特定するための情報】
【車両の管理状況を把握できる情報】
これにより、車両の状態を正確に管理し、適切なメンテナンスや更新を行うことが可能です。車両管理規程には、この台帳の作成と管理について必ず記載しておきましょう。
3. 事故発生時の対応・費用負担
社用車等で交通事故や違反が発生した場合、迅速で適切な対応が求められます。車両管理規程には、事故や違反発生時の報告手順、処理方法、そして責任の所在について明確に記載しておくことが重要です。
また、従業員と会社の費用負担の仕方も明示する必要があります。一般的に、交通違反による罰金や費用は従業員が負担し、交通事故による損害は会社が負担することが多いですが、従業員に重大な過失があった場合は例外的な対応を要する場合があります。
こうした例外事項も含め、費用負担のルールを事前に定めておくことで、トラブルを防ぎ、会社の損失を最小限に抑えることが可能です。
4. 業務でのマイカー使用について
マイカー使用を許可する際には、以下の項目を記載し、従業員に周知することが重要です。
使用頻度:どのくらいの頻度でマイカーを業務に使用するかを明示。
使用範囲:業務で使用する際の移動範囲や、業務外での私的使用を禁止する範囲を規定。
使用時間:業務中にのみマイカーを使用することを許可する時間帯を定め、私用との混同を防止。
使用条件:マイカーを業務で使用する際の保険加入状況や、車両の点検・整備条件を明確にし、万が一の事故に備える。
企業が従業員にマイカーを業務で使用させる場合は、リスク管理を徹底するために明確な規程を設ける必要があります。また、通勤時にマイカーを使用する場合、事故が発生した際に労災認定される可能性があるため、従業員には任意保険の加入と保険証券の提出を義務づけ、企業側のリスクを最小限に抑えることが重要です。
5. 車両の点検・整備(社用車)
社用車の安全運行を確保するためには、定期的な点検と整備が欠かせません。車両管理規程には、車検、定期点検、日常点検の実施スケジュールや点検結果の報告方法を明記し、従業員がこれを遵守するよう徹底することが求められます。
例えば、車両の使用前後に運転者が日常点検を行い、異常がないことを確認する義務を定めることが考えられます。また、法定点検の実施期限を守るだけでなく、企業独自の基準を設け安全管理を行うことで、社用車の安全性を常に保つことができます。これにより、事故リスクを軽減し、従業員の安全を確保することが可能です。
6. 安全運転の確保
従業員が安全運転を心がけるためには、具体的な禁止事項を明確にすることが重要です。車両管理規程には、無免許運転、免許失効、飲酒運転、最高速度の違反、ながら運転などの禁止事項を詳細に記載し、これらの規則を徹底して守るようにします。
また、定期的な交通安全教育を実施し、従業員の安全運転意識を高める取り組みも必要です。運転は管理者の目が届かない場面が多いため、従業員自身が自主的に安全運転を心がけられるようにしましょう。加えて、安全運転に関する表彰制度を導入し、職場全体の安全意識を向上させることも有効です。
7. 保険の加入条件
企業が保有する車両には、自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)への加入が法律で義務づけられていますが、任意保険の加入条件についても明確に規定することが重要です。車両管理規程には、任意保険の保険料や補償内容、加入手続きの方法などを記載します。
たとえば、業務に使用する車両が事故を起こした際、十分な補償が受けられるよう、適切な保険に加入しているかどうかを確認します。万が一の事故や損害に対して企業が十分な備えを持つことができ、リスクを最小限に抑えることが可能です。
8. 社用車の私的使用の禁止について
社用車の私的使用は禁止されるべきであり、そのルールを明確に定めることが重要です。車両管理規程には、私的使用を厳しく禁じる旨を明記し、従業員に対してルールを徹底します。
たとえば、業務時間外や業務外の目的で社用車を使用することは一切禁止とし、違反があった場合には、適切な処罰が科されることを明示します。そうすることで、社用車が適切に管理され、無駄なコストやリスクを回避することができます。
9. 従業員が規程に違反した場合の処分
従業員が車両管理規程に違反した場合、処分を行うことで企業の秩序を維持し、安全意識を高めることができます。しかし、車両管理規程にあらかじめ罰金を科す旨を定めることは、労働基準法第16条に抵触し、違法とされる可能性が高いです。代わりに、減給や降格、厳重注意などの処分を科すことが可能ですが、そのためには事前に車両管理規程や就業規則に明記しておく必要があります。
労働基準法第91条では、減給は一回の額が平均賃金の一日分の半額を超えず、総額がその賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えない範囲内で行うことが認められています。また、従業員が規程に違反した際には、減給以外にも、降格や厳重注意などの処分を行うことができます。
処分を科す際には、罰金ではなく減給といった法に準じた形で行うことが重要です。従業員に対する処分の内容は、必ず車両管理規程や就業規則に明記し、事前に従業員に周知しておくことで、トラブルを未然に防ぎ、適正な対応を取ることができます。
参照:労働基準法第91条
5. 車両管理規程の運用ポイント
車両管理規程を効果的に運用するためには、従業員への周知徹底と定期的な規程の見直しが重要です。まず、規程が作成された後は、全従業員に対して内容をしっかりと説明し、従業員が規程を理解し遵守できるようにします。これにより、事故や違反のリスクを未然に防ぎ、安全な車両管理体制を構築することができます。
また、規程は一度定めたままにせず、業務内容や法令の変更に応じて定期的に見直す必要があります。時代の変化や新たなリスクに対応するために、規程を適宜更新し、常に最新の状態を保つことで、企業の安全運行と法令遵守を強化することができます。周知と見直しを繰り返すことで、車両管理の有効性が保たれ、企業全体の安全意識を向上させることが可能です。
6. MIMAMO DRIVEで車両管理を効率化!
車両管理規程の運用にあたっては、適切な車両管理が必要不可欠です。しかし、情報がいろんなところに保管されている場合や紙媒体での管理は、対象車両の必要な情報を探さないといけなかったり、紛失の恐れもあります。
「MIMAMO DRIVE」なら、クラウド上ですべて一元管理できるため、車両管理にかかる手間を削減し業務効率化を図れます。
MIMAMO DRIVEとは
MIMAMO DRIVEとは東京海上スマートモビリティが提供する、車両管理・リアルタイム動態管理サービスです。シガーソケット型端末を車両に搭載するだけで、管理者は車両を一元管理できます。
MIMAMO DRIVEでは、日報の自動化に加えてアルコール検知器の測定結果の写真や数値も、日報と一緒に一元管理する機能を搭載しています。そのほか、リアルタイムでの走行状況をマップで確認できたり、走行距離を自動で記録できたりする便利な機能が多数あります。
「月報・日報を書く時間がない」
「紙媒体で管理していた煩雑な車両の使用状況を効率的に管理したい」
「事故のリスクを減らす効果的な方法が知りたい」
そんなお困りごとを、MIMAMO DRIVEなら解決できます。
ほかにも急ブレーキや急カーブなどの発生地点も確認できる機能があり、運転者に安全運転指導ができるので事故防止にもつながります。
東京海上グループは、お客様や地域社会の“いざ”をお支えするというパーパスを掲げ、100 年以上に わたり自動車保険をはじめとする様々な保険商品を提供してきました。
MIMAMO DRIVEは東京海上グループが長年培ってきた安全に関するノウハウに基づき運転者の走行を数値化し、アドバイス。運転評価やランキング、運転性向上など、安全指導に活用できる機能を搭載しています。
車両管理にMIMAMO DRIVEを導入するメリット
MIMAMO DRIVEは車両管理に関する重要な情報を一元管理できます。
- アルコールチェックの測定結果と日報を一元化
- ペーパーレス化により管理作業時間を短縮
- リアルタイムで位置情報を可視化し、管理業務を効率化
- 運転者の安全運転意識と運転マナーの向上
- 全車両の車検や保険の更新漏れを防止
上記のメリットのほかに、MIMAMO DRIVEは、運転者がスマホから入力可能なところも運転者が漏れなく記録できるポイントです。例えば、スマホからなら直行直帰や出張などで営業所に立ち寄れない場合でも、アルコール検知器による測定結果をその場で日報にあげることができます。とくに遠隔の場合は、紙媒体だと車両に持ち込み忘れたり、紛失したりする恐れがあります。MIMAMO DRIVEなら、遠隔でも運転者が記入したかどうかを確認することができ、記録簿の紛失の心配もいりません。
導入事例
乳製品の卸売販売と小売店舗を営む永島牛乳店様の事例をご紹介します。永島牛乳店様では、取引先への商品の納品用に5台の社用車を保有しています。運転者の自損事故をきっかけにMIMAMO DRIVEを導入しました。
リアルタイムで車両の位置情報を把握できるため、運転者が出発後に追加注文が入った際にも、代わりに動きやすい運転者を見つけて効率よく指示出しができるようになりました。また、納品時間を気にされる取引先へのご案内もスムーズにできており、全体を通じて、管理者の負担削減につながっています。
ガソリンスタンドの運営と燃料の卸販売、ビルメンテナンス業を営む手塚商事様の事例をご紹介します。運転者の日報の手書きによる記載ミスが発生していました。MIMAMO DRIVEの導入により、日報の作成が自動化され毎日の作業時間を30~40分短縮できています。
また、車両管理も車検満了日などは管理表を作成し運用していましたが、台数が多く負担を感じていました。導入後はMIMAMO DRIVEで一元管理し、業務の効率化を実現しています。