どれだけ計画的にスケジュールを立てても、運送の現場には日々“変化”が訪れます。
突然の出荷増、ドライバーの欠勤、車両のトラブルなどの想定外の事態に対応するために、 他社の車両やドライバーに一時的な輸送を依頼する仕組み が「傭車(ようしゃ/庸車)」です。
傭車は、車両の稼働を調整しながら、物流の流れを止めないための現実的な運用手段として多くの事業者が取り入れています。
一方で、「管理」「情報共有」といった新たな課題も浮かび上がっており、いかに見える化を進め、効率的に管理できるかが注目されています。
運送業で傭車が利用される理由
どんなに計画的に運行していても、日々の配送には想定外の出来事がつきものです。
荷量の増減、納期の前倒し、突発的な欠員。
こうした変化の中で、傭車は車両需給の調整手段として活用されています。物流現場で行われている“現実的な選択肢”の一つです。
繁忙期や急な依頼に対応できる
物流の現場では、「この週だけ」「この案件だけ」といった一時的な需要が頻繁に発生します。
繁忙期やキャンペーンシーズンなど、普段の倍以上の配送が必要になることも珍しくありません。
こうした変動に合わせて常に車両を増減させるのは難しいため、傭車を活用することで必要な時期にだけ外部リソースを調整的に使うことができます。
これにより、車両を新たに購入・維持する固定コストを抑えながら、荷主からの依頼を止めずに対応できる柔軟性が生まれます。
最近では、傭車をオンラインでマッチングできるサービスも登場しており、短期間・スポット対応の配車をよりスピーディに行える環境が整いつつあります。
このように、傭車は「車両を増やさずに需要に応じた運行を維持する」という、現場の安定運営を支える仕組みとして利用されています。
自社で対応できない・対応しきれない依頼にも応えられる
傭車は、自社の設備や車両構成だけでは対応できない案件を補完する手段としても活用されています。
たとえば、
- 冷凍冷蔵トラックを保有していない会社が、冷凍食品や生鮮品の配送を傭車でカバーする。
- 大型トラックやユニック車を持たない会社が、一時的な大型荷物の輸送に対応する。
こうしたケースでは、傭車を通じて荷主の多様なニーズに応えられる体制を整えることができます。
結果として、自社の得意領域に加え、新たな案件やスポット依頼への対応力が高まり、取引機会の損失を防ぐという面でも役立ちます。
ただし、傭車はあくまで一時的・補完的な対応手段です。「必要なときに、必要な範囲で活用する」というバランス感覚が求められます。
傭車の管理課題
傭車は、急な依頼や繁忙期の需給調整に有効な手段である一方で、管理の難しさという新たな課題を抱えています。
依頼主から見ると、自社車両についてはデジタコやGPSシステムなどでリアルタイムに運行状況を把握できますが、傭車は自社管理の範囲外。
そのため、
- 現在どこを走行しているのか
- 配送が予定どおり進んでいるのか
- 安全運転が維持されているのか
といった情報をリアルタイムで確認するのが難しい、という声が多く聞かれます。
こうした背景から、近年では車両管理システムを傭車にも簡易的に導入する動きが広がっています。
特に、シガーソケット型端末のように“抜き差しするだけで設置できるタイプ”は、傭車にも導入しやすく、現場で急な対応が必要な場面でも柔軟に活用できます。
このようなシステムを導入することで、自社車両と傭車を同じ基準で可視化・記録・分析できるようになり、「運行の見える化」と「安全・品質の一元管理」を両立させる取り組みが進んでいます。
たとえば、シガーソケット型端末を利用した車両管理システムでは、工事なしで簡単に設置できるため、すぐにでも導入が可能です。
さらに、こうしたデータを蓄積・分析することで、
- 安全運転指導や運転傾向の把握
- 繁忙期の稼働実績をもとにした配車計画の改善
- 荷主への報告精度の向上
といった運行品質の向上と傭車管理の効率化につなげることができます。
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まとめ
傭車は、現場の課題を補完し、物流の流れを途切れさせないための実務的な仕組みです。
その一方で、管理・連携・情報共有といった側面で新たな工夫が求められています。
シガーソケット型端末などの簡易的な車両管理ツールが広がることで、自社車両と傭車の運行を一体的に“見える化”する動きは今後さらに加速していくでしょう。