車を安全に運転するためには、日々の「日常点検」が欠かせません。日常点検とは、運転者が自分自身で行う日常的なチェックのこと。難しい工具や専門知識は不要で、外観やタイヤ、灯火類、ブレーキ、液類などを確認するだけで実施できます。本記事では、点検の15項目をわかりやすく紹介。さらに無料のチェックシートや、無理なく習慣化するためのコツもまとめています。日常点検を生活の一部にして、故障や事故を未然に防ぎましょう。
日常点検とは?
日常点検とは、運転者自身が行う日常的な安全確認のことを指します。出発前に外観やタイヤ、灯火類、ブレーキ、液類などを確認し、異常がないかを把握する短時間のチェックです。短時間で終えられる簡単な作業ですが、この積み重ねが故障や事故を防ぎ、安心して運転できる環境を作ります。
日常点検の目的
日常点検の一番の目的は、故障や事故を未然に防ぐことです。例えば、タイヤの空気圧不足やランプの球切れといった不具合は、放置すれば大きな事故につながる恐れがあります。出発前に確認しておけば、そうしたリスクを事前に排除することができます。
また、点検は運行中のトラブルを減らすことにもつながります。突然の故障で車が動かなくなると、修理費用だけでなく時間的損失も大きくなります。日常点検を習慣化すれば、整備コストを抑えながら車両を長く安全に使うことができます。つまり、日常点検は「安全」と「効率」の両面を支える日々の基本行動だといえるでしょう。
車検・定期点検との違い
「点検」と聞くと、車検や定期点検を思い浮かべる方も多いでしょう。しかし、日常点検はそれらとは役割が異なります。
車検は国が定めた基準に合格しているかを確認する検査で、通常は2年に1回の頻度で行われます。社用車の車検については以下の記事で解説しています。合わせてご覧ください。
定期点検とは、道路運送車両法によって定められた1年または2年ごとの検査のことで、劣化や消耗の早期発見を目的としています。
それに対し日常点検は、運転者が自ら行う毎日の安全チェックという位置づけになります。
下の表にまとめると、3つの違いが一目でわかります。
| 点検の種類 | 実施者 | タイミング | 主な目的 |
|---|---|---|---|
| 車検 | 専門的な知識や技術が必要となるためディーラー・整備工場などが一般的 | 通常は2年ごと | 法律に基づく適合確認 |
| 定期点検 | 専門的な知識や技術が必要となるためディーラー・整備工場などが一般的 | 道路運送車両法によって定められた1年または2年ごとの検査 | 劣化や消耗の早期発見 |
| 日常点検 | 運転者本人 | 毎日、運行前 | 故障・事故の未然防止 |
このように、三者はそれぞれ独自の役割を持ち、相互に補完し合っています。車検や定期点検だけではカバーしきれない「日々の変化」を確認できるのが日常点検の大きな特徴です。だからこそ、毎日の運転前に行う日常点検は、最も即効性のある安全対策といえるでしょう。
日常点検の点検項目とチェックシート
日常点検は、専門的な工具や知識がなくても、運転者自身が自分の責任で行えるチェックを中心に構成されています。運転席に座って計器を確認したり、エンジンルームをのぞいたり、車の周囲を一周して目視で状態を確かめたりするだけで、ほとんどの項目は十分に対応できます。
とくに自家用車の場合は、走行距離や使用状況に応じて柔軟に取り組めば大丈夫です。例えば、長距離ドライブや帰省前、洗車や給油のタイミングなどを「点検のきっかけ」にすると無理なく習慣化できます。
一方で、事業用自動車とされるトラックやバス、タクシーなどの自動車は、一日一回、その運行の前に実施する必要があるためご注意ください。
国土交通省が示す15項目をベースに、一般ドライバーでもチェックできるようにまとめました。
参考記事:日常点検項目チェックシート
エンジンルームで確認する5項目
- ブレーキ液の量:リザーバータンク内の液面が規定範囲(上限ラインと下限ラインの間)にあるかを確認。
- 冷却水の量:リザーバータンク内の液面が規定範囲にあるかを確認。
- エンジンオイルの量:レベルゲージを用いてオイル量を確認。少なければ補充し、汚れがあれば交換を検討。
- バッテリ液の量:液面が規定範囲にあるかをチェック。整備が必要な場合は早めの対応を。
- ウィンドウウォッシャー液の量:十分な量が入っているかを確認。
車の周りで確認する4項目
- ランプ類の点灯・点滅:ヘッドライト、ブレーキランプ、ウインカー、ハザードが正常に作動するか。汚れや破損がないかも確認。
- タイヤの亀裂や損傷:タイヤ表面にひび割れや異物が刺さっていないか。
- タイヤの空気圧:地面との設置部のたわみ状態を見て、空気圧が不足していないかどうかを確認。ゲージで測るのが望ましい。
- タイヤの溝の深さ:スリップサインに達していないかを点検。溝が浅いと雨天時のスリップリスクが高まる。
運転席で確認する6項目
- エンジンのかかり具合・異音:エンジンがスムーズに始動するか。異音や異臭がないかも確認。
- ウォッシャー液の噴射状態:ワイパー作動と合わせて、しっかりガラスに噴射されるか。
- ワイパーの拭き取り能力:ガラスに水が残らず、ムラなく拭き取れるか。
- ブレーキの踏み応えと効き具合:ペダルを踏んだ際にしっかり効くか、床まで沈み込まないか。
- パーキングブレーキの引きしろ・踏みしろ:軽く引いた(踏んだ)だけで効くか。効きが弱いと感じたら整備が必要。
- エンジンの低速・加速状態:アイドリングが安定しているか、アクセル操作にスムーズに反応するか。
3つのグループに分ければ覚えやすい
15項目をすべて暗記するのは大変ですが、「エンジンルーム=液体や電気系」「車の周り=タイヤと灯火」「運転席=操作系と始動」とグループで覚えると整理しやすくなります。給油や洗車の際に少しずつ点検するなど、生活の中で無理なく取り入れてみましょう。
次章に無料のチェックシートを設けて、国交省・JAF公式のチェックシートをリファレンスとして紹介する形で執筆します。
すぐ使える!無料の日常点検チェックシート
日常点検は「頭でわかっていても、毎回どこを確認すればいいか忘れてしまう…」という声も多いものです。そんなときに便利なのが、一覧形式で確認できるチェックシートです。車内に置いておけば、点検の抜け漏れを防ぎ、家族や同僚と車を共有する場合にも役立ちます。
無料のチェックシート
日常点検をサポートするために、国交省やJAFが無料で利用できるチェックシートを公開しています。印刷して車内に常備しておけば、点検の習慣化に大いに役立ちます。
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国土交通省「自動車の点検整備」公式サイト
👉 国交省 日常点検チェックシート(PDF) -
JAF(日本自動車連盟)が提供する点検用チェックシート
👉 JAF 無料チェックシート(PDF)
これらのシートを活用することで、点検項目を忘れず効率よく確認できます。
日常点検を習慣化するコツ
日常点検は一度きりで終わるものではなく、繰り返すことに意味がある取り組みです。頭では大切だと分かっていても、つい忙しさに追われて省略してしまうケースも少なくありません。ここでは、日常点検を無理なく続けるための習慣化のポイントを紹介します。
短時間で終わる流れを決めておく
習慣化のためには「短時間でできる」と体感できることが重要です。外観の確認からタイヤ、灯火類、計器類、ブレーキ、液類、積載物というようにチェックの順番を固定しておくと、自然と体が覚え、短時間で終えられるようになります。動線を決めることで「どこを見たか忘れる」というミスも防げます。
チェックシートに書き残す
頭の中で確認するだけでは、つい抜け漏れが発生します。シートにチェック欄を設けて実際に記入することで点検が確実に実施できるようになります。記録が残ると「今日はここまで点検した」という安心感が生まれるだけでなく、後日何かあった時の振り返り資料にもなります。特に社用車や複数人で利用する車両では、誰がいつ点検したかを共有できる点が大きなメリットです。
家族や同僚と共有して取り組む
日常点検は一人だけで抱え込むよりも、家族や同僚と一緒に取り組むことで続けやすくなります。職場であれば交代制で点検を担当する、といった工夫です。小さな役割分担をすることで点検が義務ではなく日常の一部になり、継続しやすくなります。
異常があったときの行動を決めておく
習慣化を妨げる大きな要因が「異常を見つけてもどうすれば良いかわからない」ことです。例えばタイヤに亀裂を発見したら整備工場に連絡する、灯火類が切れていたら交換用の電球を用意する、といった具体的な対応フローを決めておくと安心です。「見つけた後にどう動くか」が明確になっていれば、点検そのものも続けやすくなります。
このように、日常点検を習慣化するためには、短時間・記録・共有・対応フローの4つを意識すると効果的です。毎日のルーティンに取り入れることで、事故や故障を未然に防ぐだけでなく、運転者自身の安心感も高まります。
MIMAMO DRIVEなら車両管理業務を効率化できる
MIMAMO DRIVEは、社用車の日常点検の実施状況や車検・定期点検のスケジュール管理をスムーズに行えるだけでなく、走行状況の自動記録、車両の利用状況の把握など、さまざまな車両管理業務を効率化できるツールです。これにより、管理者の負担を大幅に軽減し、業務全体の生産性向上にも貢献します。
MIMAMO DRIVEとは
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ほかにも急ブレーキや急カーブなどの発生地点も確認できる機能があり、運転者に安全運転指導ができるので事故防止にもつながります。
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- MIMAMO DRIVE 資料紹介
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まとめ
日常点検は、特別なスキルがなくても誰でも取り組める安全習慣です。エンジンルーム、車の周り、運転席の3つの視点から確認することで、走行中のトラブルを大きく減らせます。点検15項目を参考にし、さらに無料チェックシートを活用すれば、点検が一層やりやすくなるでしょう。大切なのは、完璧さではなく「こまめに続けること」。日常点検を日々のルーティンに取り入れて、安全で快適なカーライフを実現してください。