事業規模の拡大に伴い、使用する車両の台数が増えてきた事業者の方々は、安全運転管理者だけでなく「副安全運転管理者」の選任が必要になる場合があります。いつ選任が必要になるのか、どんな人を選任すればよいのか、安全運転管理者との違いは何か、など疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
本記事では、副安全運転管理者の選任義務や資格要件、必要な手続きなど、実務に役立つ情報を詳しく解説します。
副安全運転管理者とは?
副安全運転管理者とは、事業所における車両の安全管理を担う重要な役職です。道路交通法第74条の3第4項に基づき、一定台数以上の車両を使用する事業所に選任が義務付けられています。
引用:道路交通法第七十四条の三 第4項(安全運転管理者等)
第七十四条の三 第4項 自動車の使用者は、安全運転管理者の業務を補助させるため、内閣府令で定める台数以上の自動車を使用する本拠ごとに、年齢、自動車の運転の経験その他について内閣府令で定める要件を備える者のうちから、内閣府令で定めるところにより、副安全運転管理者を選任しなければならない。
具体的には、車両を20台以上使用する事業所が対象となり、20台ごとに1名の選任が必要です。業務内容は安全運転管理者の業務の補助で、運転者の健康状態の確認やアルコールチェック、事故防止対策の実施など、車両の安全運転に関する安全運転管理者の管理全般を補助します。
安全運転管理者との違い
安全運転管理者との違いは、業務の主従に加えて、選任基準と必要人数が挙げられます。資格要件として、安全運転管理者は2年以上の実務経験が必要ですが、副安全運転管理者は1年以上で良いとされています。
安全運転管理者
年齢要件 | 20歳以上(副安全運転管理者を置く場合は30歳以上) |
---|---|
実務経験 | 自動車の運転管理に関して2年以上 |
選任条件 | 乗車定員11人以上の自動車1台、またはその他の自動車5台以上を使用する場合 |
届出義務 | あり |
副安全運転管理者
年齢要件 | 20歳以上 |
---|---|
実務経験 | 自動車の運転管理に関して1年以上 |
選任条件 | 使用する自動車が20台以上 |
届出義務 | あり |
副安全運転管理者は安全運転管理者を補助する立場として、使用する自動車の台数に応じた人数の選任が求められる点が大きな特徴と言えます。
安全運転管理者の概要を知りたい方は、以下の記事もご覧ください。

安全運転管理者とは?選任が必要な場合と主な業務【弁護士監修】
安全運転管理者とは、一定台数以上の自家用自動車を使用する事業所において車が安全に使用されるために管理、指導する人を指します。この記事では、安全運転管理者の選任基準と主な業務、副安全運転管理者の必要性、選任手続きや罰則について詳しく解説。法定講習の重要性も紹介します。
補助者との違い
補助者とは、安全運転管理者や副安全運転管理者の業務を補佐する、社内で独自に指定された従業員のことです。副安全運転管理者との最大の違いは、補助者には法令で定められた資格要件がなく、公安委員会への届出も不要という点です。
また、業務委託契約での選任も可能です。ただし、補助者にも一定の責任が伴います。例えば、運転者の体調確認やアルコールチェックを行う際は、安全運転管理者に適時に報告して指示を仰ぐなど、異常を発見した場合に適切な判断と対応ができることが求められます。そのため、社内規定で補助者の業務範囲を明確に定め、関係者全員に周知しておくことが重要です。
副安全運転管理者の選任が必要な場合
副安全運転管理者の選任は、道路交通法施行規則第9条の11に基づき、事業所が使用する自動車の台数によって定められています。使用台数が19台以下の場合は選任の必要はありませんが、副安全運転管理者は使用車両が20台につき1名、そこから20台増えるごとに1名の追加選任が必要です。なお、自動二輪車(原付を除く)については0.5台としてカウントします。事業所の規模拡大により使用する車両台数が増加した場合は、この基準に従って速やかに追加選任を行う必要があります。
~19台 | 不要 |
---|---|
20~39台 | 1名 |
40~59台 | 2名 |
60~79台 | 3名 |


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副安全運転管理者の選任基準
20歳以上かつ運転管理の実務経験が1年以上あっても、下記に該当する場合は、副安全運転管理者になることはできません。
- 過去2年以内に安全運転管理者等の解任命令により解任された場合
- 2以下の違反行為をしてから2年を経過していない場合
- ひき逃げ
- 酒酔い運転・酒気帯び運転
- 麻薬等を使用しての運転
- 無免許運転
- 飲酒運転に関する車両・酒類の提供、または同乗行為
- 無免許運転に関する車両の提供、または同乗行為
- 重大な交通違反(過労運転、最高速度違反、積載制限違反など)の下命・容認
- 自動車使用制限命令違反
- 妨害運転


安全運転管理者必見 よくあるQ&A集
副安全運転管理者を選任したら必ず届け出を
副安全運転管理者を選任した場合、15日以内に必ず公安委員会への届出が必要です。使用者は、この法定期間内に確実に手続きを行う責任があります。
引用:第七十四条の三 第5項(安全運転管理者等)
第七十四条の三 第5項 自動車の使用者は、安全運転管理者又は副安全運転管理者(以下「安全運転管理者等」という。)を選任したときは、選任した日から十五日以内に、内閣府令で定める事項を当該自動車の使用の本拠の位置を管轄する公安委員会に届け出なければならない。これを解任したときも、同様とする。
必要書類
副安全運転管理者の選任時には、例えば、以下の書類を提出する必要があります。
- 副安全運転管理者に関する届出書
- 副安全運転管理者資格認定申請書(運転管理経歴1年未満の場合)
- 運転免許証の写し、住民票の写し(マイナンバー未記載)、または戸籍抄本のいずれか 履歴書
- 運転記録証明書(発行日から1か月以内で、過去3年間分)
- 運転管理経歴証明書(運転管理経歴1年以上の場合)
必要書類についての詳細は、所轄の警察署にご確認ください
届出先
事業所の所在地を管轄する警察署の交通課に提出します。複数の事業所において副安全運転管理者の選任を要する企業の場合は、それぞれの事業所の所在地を管轄する警察署に個別の届出が必要です。
なお、一部の地域では郵送での手続きにも対応していますが、事前に管轄の警察署に確認することをお勧めします。提出書類の様式は警察署窓口や交番で入手できるほか、各都道府県警のWebサイトからダウンロードできる場合もあります。
副安全運転管理者の業務内容
副安全運転管理者は、安全運転管理者の補助者として、同等の業務を担います。具体的には、以下の9つの重要な業務を行います。
運転者の適性把握 | 運転技能や法令遵守状況の確認に必要な措置の実施 |
---|---|
運行計画の作成 | 過労運転等の防止と安全確保のための運行計画立案 |
交代運転者の配置 | 長距離・夜間運転における適切な人員配置 |
異常気象時の対応 | 悪天候などで安全運転に支障が生じる恐れがある場合の必要な指示・措置 |
点呼と日常点検 | 運転前の体調確認や車両の日常点検整備の実施確認、安全運転確保のために必要な指示 |
アルコールチェック | 酒気帯びの有無について運転前後における目視確認とアルコール検知器を用いた確認 |
記録の保管 | アルコールチェックの記録の保存(1年間)、検知器の維持管理 |
業務日誌の管理 | 運転状況等の記録・管理 |
安全運転の指導 | 交通安全教育指針に基づく教育、運転技能・知識の指導 |
副安全運転管理者は、安全運転管理者と連携しながら、事業所全体の安全運転確保に努める必要があります。
副安全運転管理者に関する罰則
副安全運転管理者についても、安全運転管理者と同様に、業務そのものにかかわる罰則はありませんが、選解任等に関する一定の事項について法令違反に対する罰則が定められています。主な罰則は以下の4つです。
選任義務違反 | 50万円以下の罰金 | 使用車両が20台以上になった場合は、速やかに副安全運転管理者を選任する必要があります。 |
---|---|---|
解任命令違反 | 50万円以下の罰金 | 無免許運転や酒気帯び運転などの重大な法令違反により、公安委員会から解任を命じられた場合は、速やかに従う必要があります。 |
選任解任届出義務違反 | 5万円以下の罰金 | 副安全運転管理者を選任・解任した際は、15日以内に管轄の公安委員会への届出が必要です。 |
副安全運転管理者が年1回受けなければならない法定講習とは?
法令等に基づき、副安全運転管理者は年1回の法定講習を受講することが義務付けられています。
引用:道路交通法第七十四条の三 第9項(安全運転管理者等)
第七十四条の三 第9項 自動車の使用者は、公安委員会からその選任に係る安全運転管理者等について第百八条の二第一項第一号に掲げる講習を行う旨の通知を受けたときは、当該安全運転管理者等に当該講習を受けさせなければならない。
受講は、オンライン型講習と会場型講習から選択でき、費用は3,000円です(2025年1月時点)。講習受講時は講習通知書、身分証明書、筆記用具が必要です。
また、この講習は法定講習のため代理受講は一切認められません。必ず副安全運転管理者として選任された本人が受講する必要があります。詳細については、各都道府県の警察のホームページまたは安全運転管理者協会にてご確認ください。
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まとめ
副安全運転管理者は、20台以上の車両を使用する事業所に選任が求められる重要な役職です。安全運転管理者を補助する立場として、運転者の健康状態確認やアルコールチェックなどの業務を担当します。選任から15日以内の届出が必要で、法令に違反した場合、使用者には最大50万円の罰金が科せられる可能性があります。年1回の法定講習の受講も義務付けられています。安全運転管理の業務は、MIMAMO DRIVEなどのシステムを活用して効率化するのが良いでしょう。