安全運転管理者とは、一定台数以上の自家用自動車を使用する事業所において、安全運転の確保のために必要な業務を行う責任者のことです。安全運転管理者の選任は、法律で義務付けられています。
しかし、「自社は安全運転管理者の選任が必要なのかどうかわからない」「具体的にどのような業務を行うのか知らない」「安全運転管理者を選任した後の手続き方法がわからない」といったお悩みがある方もいるのではないでしょうか。
本記事では、安全運転管理者の概要から必要要件、選任基準、主な業務内容や届出の仕方まで、網羅的に解説します。各種法令に基づきながらお伝えするので、ぜひ参考にしてください。
安全運転管理者とは?
安全運転管理者とは、一定台数の自家用自動車を使用する事業所において、安全運転の確保のために必要な業務を行う責任者のことです。事業主は道路交通法第74条に基づき、安全運転管理者やドライバーに道路交通法や、その他の規定を遵守させ、安全運転を実現するよう努める必要があります。
第七十四条 車両等の使用者は、その者の業務に関し当該車両等を運転させる場合には、当該車両等の運転者及び安全運転管理者、副安全運転管理者その他当該車両等の運行を直接管理する地位にある者に、この法律又はこの法律に基づく命令に規定する車両等の安全な運転に関する事項を遵守させるように努めなければならない。
引用元:道路交通法第七十四条第七十四条 車両等の使用者は、その者の業務に関し当該車両等を運転させる場合には、当該車両等の運転者及び安全運転管理者、副安全運転管理者その他当該車両等の運行を直接管理する地位にある者に、この法律又はこの法律に基づく命令に規定する車両等の安全な運転に関する事項を遵守させるように努めなければならない。
安全運転管理者の業務は、具体的には運転者の状況把握や運行計画の作成、運転前後の酒気帯び確認、運転日誌の管理や安全運転教育の実施などです。安全運転管理者には、ドライバーの安全意識向上や交通事故を防止する役割があります。
安全運転管理者の選任は、道路交通法によって義務付けられています(安全運転管理者制度)。安全運転管理者制度とは、一定台数以上の自動車を使用する場合に安全運転管理者を選任し、的確な指示・管理をすることで交通事故防止や安全運転確保のために定められた制度です。
安全運転管理者は、道路交通法第74条の3に基づき、交通安全教育や安全運転確保に必要な業務を行います。
参照:道路交通法第七十四条の三
安全運転管理者の選任が必要な場合
安全運転管理者の選任が必要かどうかは、事業所で使用する自家用自動車(白ナンバー(注1))の台数や種類によって決まります。自動車の使用者(事業主)は、道路交通法施行規則第9条の8に基づき、以下の条件に該当する事業所において、安全運転管理者の選任が必要です。

- 乗車定員が11人以上の自動車を1台以上使用する事業所
- その他の自動車を5台以上使用する事業所(大型自動二輪車や普通自動二輪車は、それぞれ1台を0.5台として計算)
このように、自動車の台数に応じて選任が必要な場合が決まります。
ただし、あくまで対象は「事業で使用する自家用自動車」です。従業員がもっぱら通勤のみに使用しているマイカーなどは、算入の対象から外れます。また、出張先でたまたまレンタカーを借りた場合など、自動車の所有権・賃借権等に基づく管理権限が事業者にない場合は、通常は算入の対象外になります。
注1:自家用車や社用車として利用されることの多い普通・小型自動車、大型特殊自動車につけられるナンバープレートのこと。黄色ナンバーの軽自動車も白ナンバーに含まれます。
安全運転管理者の主な業務
安全運転管理者の主な業務は、道路交通法施行規則第9条の10に規定されています。具体的な内容は、以下のとおりです。

- 運転者の状況把握
安全運転管理者の主な業務として、運転者の状況を把握することが挙げられます。状況把握は、運転者が安全に車両を操作できるかどうかを確認するために行うものです。
例えば、採用したばかりの社員が運転業務を担当する際には、まず運転免許証の確認や過去の運転経歴をチェックします。また、過去の交通違反歴やアルコール依存症の問題がないかも調査します。
さらに、健康診断等を通じ、運転に支障をきたす健康問題がないかを定期的に確認することも、安全運転管理者の業務です。
- 安全運転確保のための運行計画の作成
運行計画の作成は、安全運転を確保するための重要な業務です。具体的には運転ルートの選定、運転時間の管理、休憩の計画などが含まれます。
例えば物流会社では、長距離運転を行うドライバーに対して休憩ポイントを設定します。疲労が蓄積されると注意力が散漫になり、交通事故に遭うリスクが高まるからです。そのため、4時間運転した後に30分の休憩を取るよう指示するなど、ドライバーが疲労しないような計画を立てます。
また、運行前に天候や交通状況を確認し、必要に応じてルートを変更することもあります。
- 長距離、夜間運転時の交替要員の配置
長距離や夜間の運転は、ドライバーにとって特に負担が大きい業務です。事故のリスクも高まります。そのため安全運転管理者は、交通事故を予防するため、交替要員を配置します。
例えば夜間に10時間以上の長距離運転が必要な場合、2人のドライバーを配置し、4時間ごとに交替する計画を立てます。交替要員を配置すれば、ドライバーが適度な休息を取りながら運転を続けられるのです。このように交替要員を配置し、疲労による事故のリスクを減らす工夫をしています。
- 異常気象時等の安全確保の措置
異常気象(大雨、雪、台風など)の際には、安全運転が困難になることがあります。こうした状況においても適切な措置を講じるのが安全運転管理者です。
大雪が予想される日に運転が必要な場合、ドライバーにチェーンの装着を指示したり、運行を一時中止する判断を下したりします。また、台風接近時には事前に運行スケジュールを見直し、必要に応じて運行を延期することもあるでしょう。
無理な運転を避けるよう具体的な指示を出し、ドライバーの安全を最優先に考えるよう徹底します。
- 点呼等による安全運転の指示
ドライバーの状態を確認するため、運行前後に点呼を行います。点呼では、ドライバーの顔色や話し方をチェックし、疲労や病気の兆候がないかを確認します。些細な変化を読み取り、ドライバーが運転に適しているかを確認するのも、安全運転管理者の仕事です。
- 運転日誌の備付けと記録管理
運転日誌を備え付け、運転者に運転の詳細を記録させるのも、安全運転管理者の業務です。記録を管理することで運転状況を把握でき、問題が発生した際にも迅速な対応ができます。
例えば、各ドライバーに運転日誌を配布し、毎日の運行内容の記録を依頼します。運転開始と終了の時刻、運転距離、交通渋滞や道路工事といった運転中の出来事を記録してもらえば、改善点の洗い出しが可能です。
安全運転管理者は中身を定期的にチェックし、次の運行計画に反映させます。
- 運転者に対する安全運転指導
安全運転管理者は、ドライバーに対して定期的な安全運転指導を行います。ドライバーの安全意識を高め、事故防止に努めるためです。
例えば、定期的にドライバー向けの安全運転講習会を開催します。講習会では、最新の交通法規の変更点や事故の事例を紹介し、具体的な運転技術の向上方法を指導したりします。
また、シミュレーション機器を使用して危険運転の再現を行い、どのように対処すべきかを考えさせることもあるでしょう。このように交通法規の遵守、安全運転技術の向上、事故防止のための教育を行ってドライバーの安全意識を高め、事故防止に努めます。
- 酒気帯びの有無の確認及び記録の保存
運転前後のドライバーに対して酒気帯びの確認を行い、結果を記録・保存するのも、安全運転管理者の業務です。飲酒運転を防止し、安全運転を確保する目的で行います。
具体的には、運転前に目視等でドライバーの状態を確認するとともに、アルコールチェッカーを使用して、ドライバーの呼気を確認します。数値に問題がなければ、運転許可を出すことが可能です。万が一酒気帯び運転にあたる数値が測定された場合は、ドライバーの運転を取り止めます。
運転終了後にも同様のチェックを行い、その結果を記録します。記録は1年間保存し、定期的に見直すのも業務の一つです。アルコールチェッカーの定期的なメンテナンスも行い、常に正確な測定ができる状態を保ちます。
- アルコール検知器の使用等
ドライバーの飲酒運転を防ぐため、国家公安委員会が定める要件を満たすアルコール検知器の使用を徹底します。
安全運転管理者は、上記の業務を通じて企業内の安全運転を推進し、交通事故の防止に努める重要な役割を担います。
安全運転管理者の必要人数
安全運転管理者は、「乗車定員が11人以上の自動車を1台以上使用する事業所」もしくは「その他の自動車を5台以上使用する事業所(大型自動二輪車や普通自動二輪車は、それぞれ1台を0.5台として計算)」ごとに1名を選任します
事業所における自動車の台数が増えたとしても、当該事業所の安全運転管理者の必要人数は1名です。しかし、使用する自動車の台数が増えるほど、運転者の状況把握や日常点検、安全運転指導などが行き渡りにくくなります。すると、適切な管理・監督が難しくなり、安全の確保が難しくなるでしょう。
車両運転における安全性を確保するため、一定数以上の自動車を使用する場合は、当該事業所において安全運転管理者の業務を補助する「副安全運転管理者」を設けることが義務付けられています。
副安全運転管理者については、次項で解説します。
安全運転管理者の選任基準
安全運転管理者には、選任基準があります。道路交通法施行規則第9条の9で定められている基準は、以下のとおりです。
年齢 | 20歳以上 ※副安全運転管理者の選任が必要な場合は、30歳以上 |
---|---|
実務経験 | 自動車の運転の管理に関して2年以上の実務経験を有する者(公安委員会が行う自動車管理教習を修了している場合は1年以上) |
資格 | 過去2年以内に公安委員会の解任命令を受けたことのない者 |
違反行為の有無(過去2年以内) |
以下の違反行為がない者
|
安全運転管理者は20歳以上、副安全運転管理者を選任する場合は30歳以上である必要があります。また、実際の運転管理業務に対する知識と経験を求めるため、原則として2年以上の運転管理実務経験が必要です。
なお、安全運転管理者は、法令に基づき交通安全に配慮したり、他の運転者の模範となり安全運転の重要性を伝えたりする役割を担います。そのため、法令を遵守していることが重要です。ひき逃げや酒気帯び運転といった違反行為がある場合、安全運転管理者として適切とはいえません。したがって、過去2年以内に違反行為がある方は選任対象外になります。
副安全運転管理者の選任が必要な場合
副安全運転管理者は、安全運転管理者の業務を補助したり、必要に応じて職務を代行したりする人のことです。一定の条件に該当する事業所では、副安全運転管理者を選任することが義務付けられています。
本項では、副安全運転管理者選任の条件や主な業務、選任基準について解説します。
副安全運転管理者の必要人数
副安全運転管理者の必要人数は、事業所で使用する自動車の台数に基づいて決定されます。道路交通法施行規則第9条の11で定められている具体的な必要人数は、以下の通りです。
1台~19台 | 不要 |
---|---|
20台~39台 | 1人 |
40台~59台 | 2人 |
60台以上 | 20台ごとに1人追加 |
例えば、50台の自動車を使用している場合、副安全運転管理者は2人必要です。
副安全運転管理者は、安全運転管理者を補助する存在です。適切な人数を選任することで、安全管理体制を整えられます。万が一の事態に迅速に対応するためにも、必ず適切な人数を選任してください。
副安全運転管理者の主な業務
副安全運転管理者の主な業務は、安全運転管理者の補助です。そのため、安全運転管理者と同様、以下の業務を行います。
- 運転者の状況把握
- 安全運転確保のための運行計画の作成
- 長距離、夜間運転時の交替要員の配置
- 異常気象時等の安全確保の措置
- 点呼等による安全運転の指示
- 運転日誌の備付けと記録管理
- 運転者に対する安全運転指導
- 酒気帯びの有無の確認及び記録の保存
- アルコール検知器の使用等
補助が基本ですが、安全運転管理者の代行をすることもあります。
副安全運転管理者の選任基準
副安全運転管理者を選任するためには、以下の基準を満たしている必要があります。安全運転管理者と同様に、選任後には公安委員会への届出が必要です。
年齢 | 20歳以上 |
---|---|
運転管理実務経験 | 1年以上の運転管理実務経験、または3年以上の運転経験 |
資格 | 過去2年以内に公安委員会の解任命令を受けたことのない者 |
違反行為の有無(過去2年以内) |
以下の違反行為がない者
|
副安全運転管理者は法令に則り、20歳以上の方を選任します。安全運転管理者と同様、過去2年以内に公安委員会の解任命令を受けていないこと、重大な交通違反を犯していないことが必須です。安全運転の模範として責任者を任せるため、ひき逃げや酒酔い運転、無免許運転などの重大な違反を犯した者は、副安全運転管理者に選任できません。
適切な基準に基づいて副安全運転管理者を選任することで、安全運転管理者と協力し、事業全体の安全運転管理体制を強化することにつながります。
安全運転管理者等を選任したら必ず届け出を
安全運転管理者や副安全運転管理者を選任したら、必ず届け出をしてください。届け出は法的義務のため、怠ると罰則が課せられる可能性があります。選任したら速やかに対応を進めましょう。
本項では、書類の届け先や安全運転管理者の選任・変更に必要な書類を解説します。
書類の届け出先
安全運転管理者や副安全運転管理者を選任したら、道路交通法第74条の3第5項に基づき、15日以内に管轄する公安委員会に届け出をします。
引用元:道路交通法第七十四条の三第五項自動車の使用者は、安全運転管理者又は副安全運転管理者(以下「安全運転管理者等」という。)を選任したときは、選任した日から十五日以内に、内閣府令で定める事項を当該自動車の使用の本拠の位置を管轄する公安委員会に届け出なければならない。これを解任したときも、同様とする。
安全運転管理者の選任・変更に関する書類の実際の届出先は、管轄警察署の交通課です。必要な書類を揃えて交通課の窓口に直接赴きます。もしくは、郵送で手続きすることも可能です。
郵送で手続きを進める際には、管轄警察署の交通総務課に連絡します。また、切手を貼った返信用封筒を同封のうえ、書類を送付するようにしてください。
また、近年は、オンライン申請も可能になりました。オンライン申請を行う場合は、警察行政手続サイトにアクセスし、必要事項を入力して書類をアップロードします。
オンライン申請を希望される方は、以下より手続きを行ってください。
警察行政手続きサイト必要書類を警察署に提出すると、警察署を経由して公安委員会に届きます。内容に不備がなければ届出は受理され、公安委員会から受理通知が送られます。受理通知が送られてきたら、安全運転管理者選任の届出は完了です。
安全運転管理者の選任・変更に必要な書類
安全運転管理者の選任届出に必要な書類は、以下のとおりです。書類が不足している状態だと、安全運転管理者の選任・変更の届出が受理されません。受理までに時間がかかるほか、窓口に何度も足を運んだり郵送手続きが増えたりするため、必要書類をよく確認してから手続きを進めましょう。
安全運転管理者等選任届出書 | 各都道府県警察のWebサイトからダウンロードが可能です。届出書には、選任または解任の日付、管理者の氏名、連絡先などを記入します。 |
---|---|
運転記録証明書 | 運転者の過去3年間または5年間の運転記録を証明する書類です。自動車安全運転センターで発行されます。届出日から1ヶ月以内に発行したものに限ります。 |
運転管理経歴証明書 (運転管理経歴が2年未満の場合は安全運転管理者等資格認定申請書) |
運転管理の経験を証明する書類です。事業者が作成し、必要な場合は前職の経験も含めることができます。 |
公的身分証明書のコピー | 運転免許証。運転免許を受けていない場合は、住民票の写し(発行日から3ヶ月以内)、健康保険証の表面・裏面の写しが必要です。 |
※ 届け出先の警察署によりさらに追加の書類の提出を求められる場合がありますので、申請にあたっては実際の必要書類を届け出先の警察署に事前にご確認ください。
安全運転管理者を変更する場合も、提出書類は同様です。運転記録証明書や運転管理経歴証明書、公的身分証明書などは、新しく選任される方のものを提出します。
安全運転管理者に関する罰則
安全運転管理者を適切に選任し、業務を遂行することは、企業にとって非常に重要です。この義務を怠ると、さまざまな罰則が科せられます。代表的な罰則は、以下の4つです。
- 選任義務違反
- 選任解任届出義務違反
- 解任命令違反
- 是正措置命令違反
本項では、それぞれの罰則について解説します。
選任義務違反
「乗車定員が11人以上の自動車を1台以上使用する事業所」、もしくは「その他の自動車を5台以上使用する事業所(大型自動二輪車や普通自動二輪車は、それぞれ1台を0.5台として計算)」は、必ず安全運転管理者を選任する義務があります。
参照:道路交通法第七十四条の三
安全運転管理者は、従業員の安全運転の意識を高め、交通事故を防止するために必要な存在だからです。従業員や車両の管理を行い安全運転を徹底させる役割を担います。
そのため、安全運転管理者の選任を怠ることは、事業所が適切な安全管理をしていないことと同義です。車両運転時に事故を引き起こすリスクが高まるため、選任条件に当てはまるにもかかわらず、選任を怠った場合は、50万円以下の罰金が課せられる可能性があります。
解任命令違反
行政機関より、安全運転管理者の解任を命じられたにもかかわらず従わなかった場合は、解任命令違反として罰則が科される可能性があります。
解任命令は、安全運転管理者が無免許運転、酒気帯び運転など重大な法令違反をするなどして欠格事由に該当した場合や、職務が適切に遂行されず自動車の安全な運転を確保できないと判断された場合などに発令されるものです。つまり、解任命令に背き、安全運転管理者を継続することは、事業所の安全運転管理が適切になされていない状態を放置することになります。
解任命令に背くことは、交通事故や法令違反を犯すリスクを高めることと同義です。そのため、解任命令違反は厳しく取り締まられており、違反した際には50万円以下の罰金が科せられる可能性があります。
是正措置命令違反
是正措置命令が出されたにもかかわらず、自動車の使用者(事業主)が適切な対応を取らなかった場合も、罰則の対象です。
例えば、夜間又は長距離の運転時における交替運転者を配置する権限を安全運転管理者に与えていないことにより、運転者が過労による居眠り運転に起因する交通事故を起こした場合や、十分な数のアルコール検知器を用意していないことによりアルコールチェックが適切に行われず、運転者が酒気帯び運転を行った場合等、自動車の使用者が、安全運転管理者に対して必要な権限を与えていなかったり必要な機材を整備していなかったりすることで自動車の安全な運転が確保されていない場合に、是正措置命令が出されることがあります。
つまり是正措置命令は、取り組み方法の見直しが必要な場合に出されるものです。命令に背くと、安全運転の確保に努めていないと判断され、50万円以下の罰金が課される可能性があります。
選任解任届出義務違反
安全運転管理者を選任または解任した際には、15日以内に管轄の公安委員会に届け出を行う必要があります。道路交通法第74条の3第5項では、以下のとおり定められています。
引用元:道路交通法第七十四条の三 第五項自動車の使用者は、安全運転管理者又は副安全運転管理者(以下「安全運転管理者等」という。)を選任したときは、選任した日から十五日以内に、内閣府令で定める事項を当該自動車の使用の本拠の位置を管轄する公安委員会に届け出なければならない。これを解任したときも、同様とする。
そのため、選任・解任の届出義務を怠った場合も、罰則の対象です。具体的には、5万円以下の罰金が科せられる可能性があります。
年1回の安全運転管理者等法定講習を受講
道路交通法第74条の3第9項に基づき、安全運転管理者や副安全運転管理者は、年に一度法定講習を受講する義務があります。
安全運転管理者等法定講習は、最新の交通安全情報や法令改正点を学ぶ重要な機会です。受講しないと、最新の法令改正や交通安全情報を知らないまま業務を行うことになるため、適切な安全管理ができなくなります。例えば、法令が改正されたことを知らずに運行を続けると、道路交通法に違反してしまうリスクがあるでしょう。また、最新の交通安全情報を知らずに業務を続けたところ、重大な交通事故が発生し、管理責任を問われるケースもあります。
一方で、安全運転管理者法定講習で最新の交通安全対策を学んだ結果、運転者への指導方法が改善され、交通事故が減少することもあります。安全運転管理者法定講習は、安全意識を高める機会にもなるといえるでしょう。
安全運転管理者や副安全運転管理者が最新の情報を実務に反映させ、適切に業務を行うためにも、安全運転管理者等法定講習は欠かせません。毎年の法定講習を確実に受講することが重要です。
なお、安全運転管理者等法定講習は、道路交通法施行規則第38条に基づき行われます。
(講習)
第三十八条
法第百八条の二第一項第一号に掲げる講習(第十七項において「安全運転管理者等講習」という。)は、次に定めるところにより行うものとする。
一
自動車及び道路の交通に関する法令の知識その他自動車の安全な運転に必要な知識、自動車の運転者に対する交通安全教育に必要な知識及び技能、安全運転管理に必要な知識及び技能等に関し行うこと。
二
あらかじめ講習計画を作成し、これに基づいて行い、かつ、その方法は、教本、視聴覚教材等必要な教材を用いて行うこと。
三
講習時間は、一回につき、その講習を受けようとする者に係る自動車の使用の本拠の規模、運転の管理の経験等に応じ、安全運転管理者に対しては六時間以上十時間以下、副安全運転管理者に対しては四時間以上八時間以下とすること。
引用元:道路交通法施行規則第三十八条(講習)
第三十八条 法第百八条の二第一項第一号に掲げる講習(第十七項において「安全運転管理者等講習」という。)は、次に定めるところにより行うものとする。
一 自動車及び道路の交通に関する法令の知識その他自動車の安全な運転に必要な知識、自動車の運転者に対する交通安全教育に必要な知識及び技能、安全運転管理に必要な知識及び技能等に関し行うこと。
二 あらかじめ講習計画を作成し、これに基づいて行い、かつ、その方法は、教本、視聴覚教材等必要な教材を用いて行うこと。
三 講習時間は、一回につき、その講習を受けようとする者に係る自動車の使用の本拠の規模、運転の管理の経験等に応じ、安全運転管理者に対しては六時間以上十時間以下、副安全運転管理者に対しては四時間以上八時間以下とすること。
上記内容から、「道路交通に関する法令知識」「安全運転に必要な知識」「自動車運転者に対する交通安全教育に必要な知識及び技能」「安全運転管理に必要な知識及び技能」について学ぶことがわかります。
講習時間は、安全運転管理者については6時間以上10時間以下です。具体的な時間帯は、都道府県によって異なりますが、丸一日かかると考えてよいでしょう。代理受験や途中退室はできないため、講習のための時間を確保することが重要です。
なお、法定講習は、指定された会場で対面講習をする「会場講習」と、インターネットを利用した「オンライン講習」の2つがあります。
会場講習は、直接講師から指導を受けることが可能です。会場や開催日時は都道府県によって異なるため、交通安全協会や安全運転管理者連合会、もしくは事業所の所在地の管轄警察署のホームページを確認してください。
オンライン講習は、インターネットを通じて自宅や職場から受講することができます。ただし、オンライン講習を選択できない都道府県もあるため、事前に確認してから申し込みを進めましょう。
安全運転管理者の選任届出をしていれば、毎年法定講習のお知らせが郵送されてきます。お知らせの内容に沿って受講手続きを進めてください。
- MIMAMO DRIVE 資料紹介
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MIMAMO DRIVEは社有車に関する “経営者” “車両管理者” “運転者”皆様のお困りごとを解決する、 車両管理・リアルタイム動態管理サービスです。サービスの概要や主な機能、活用事例を簡単にご紹介しています。サービスの導入をご検討されている皆様にぜひご覧いただきたい資料になります。
まとめ
安全運転管理者とは、一定台数以上の自家用自動車を事業で使う事業所が、安全運転の確保を目的に選任する責任者のことです。
「乗車定員が11人以上の自動車を1台以上使用する事業所」もしくは「その他の自動車を5台以上使用する事業所(大型自動二輪車や普通自動二輪車は、それぞれ1台を0.5台として計算)」は、安全運転管理者の選任が義務付けられています。
また、自動車の台数が20台以上の場合には、副安全運転管理者の選任も必要です。安全運転に対する意識を醸成し、ドライバーの交通事故を防止するためにも、必ず必要人数を選任してください。
安全運転管理者や副安全運転管理者を適切に選任し、安全管理体制を整えることは、安全運行の確保と交通事故のリスクの抑制につながります。ただし、安全運転管理者、副安全運転管理者ともに、選任基準が設けられている点には注意が必要です。
本記事では安全運転管理者の主な業務や必要人数、選任基準、届出方法や罰則まで解説しました。今回ご紹介した内容を参考に、ぜひ事業所の安全運転管理体制を見直してみてください。
なお、安全運転管理者等に関するよくある質問は、警視庁のサイトから確認できます。
警視庁|安全運転管理者等に関するよくある質問