「事業用自動車って何だろう?」や「自家用車との違いは?」といった疑問をお持ちではありませんか?事業用自動車とは、自動車運送事業者が業務で使用する車両のことです。
この記事では、事業用自動車と自家用自動車の違い、登録手続き、さらには効率的な車両管理方法について詳しく解説します。事業用自動車に関する情報をしっかりと理解するために、ぜひ最後までお読みください。
事業用自動車とは、自動車運送事業者が自動車運送事業のために使う自動車のこと
事業用自動車とは、自動車運送事業者が、自動車を使用して有償で貨物や乗客を運ぶ目的で使用する車両のことです。これは、道路運送法で規定されており、タクシー、路線バス、宅配便のトラックなどが該当します。事業用自動車は、業務目的で使用されるため、自家用自動車とは異なる一定の規制や基準に従う必要があります。また、自動車運送事業を営むためには、国土交通省からの許可を取得し、事業用自動車として正式に登録することが求められます。登録車は緑地に白字(軽自動車の場合は黒地に黄字)のナンバープレートがついています。
一方で、事業用自動車以外の自動車は「自家用自動車」と呼ばれ、個人や法人が自動車運送事業以外の目的で使用する車両を指します。続いて、事業用自動車と自家用自動車の違いについて詳しく解説していきます。
参照:道路運送法 第二条八項

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事業用自動車と自家用自動車の違い
事業用自動車と自家用自動車には、用途やナンバープレートの色、税金、車検期間など、さまざまな違いがあります。これらの違いを理解することで、どちらがどのような目的で利用されるべきかが明確になります。それぞれの違いを詳しく見ていきましょう。
<違い1>使用目的
事業用自動車と自家用自動車の主な違いは、使用目的にあります。自家用自動車は、利用者が自らの用途のために使用する車です。一方、事業用自動車は、自動車運送事業において使用され、人や物を運ぶことで対価を得るために利用されます。具体的な使用用途の違いと具体例を以下の表にまとめています。
自家用自動車
使用目的 | 利用者が自らの用途のために使う |
---|---|
例 |
|
事業用自動車
使用目的 | 自動車運送事業で使用するために使う など |
---|---|
例 |
|
このように、使用目的に応じて車両の区分が異なることがわかります。
<違い2>ナンバープレート
事業用自動車と自家用自動車の大きな違いの一つに、ナンバープレートの色があります。自動車の種類や用途は、ナンバープレートの色や分類番号で簡単に識別できるようになっており、例えば、緑地に白字のナンバープレートが事業用自動車を示します(軽自動車の場合は黒地に黄字)。
このように、ナンバープレートの色によって、その車両が自動車運送事業の目的で使われているか、自家使用かが一目で判断できる仕組みです。次の項目で、このナンバープレートの色と分類番号について、さらに詳しく解説します。
プレートの色
事業用自動車と自家用自動車のプレートの色による違いは以下の通りです。
事業用自動車のナンバープレート
- 緑地に白文字で表示
- トラックやタクシーなどの運賃や報酬を受け取り運搬する車両
自家用自動車のナンバープレート
- 白地に緑文字で表示
- 自社所有の貨物を運搬
分類番号
ナンバープレートの分類番号は、事業用自動車と商業車両を示す特定の番号が割り当てられており、これにより運送業務などの用途が明確になります。自家用自動車には一般的な分類番号が使用され、商業目的以外の車両であることがわかります。
ナンバープレート上部に記されている分類番号の先頭の数字0〜9に分けられています。
1(10、100〜199) | 普通自動車 | 大型トラックなど貨物運送で使用 |
---|---|---|
2(20〜29、200〜299) | 普通乗合車 | バスなどの乗車定員11人以上の人の運送で使用 |
3(30〜39、300〜399) | 普通乗用車 | 乗車定員10人以下の人の運送で使用 |
4・6(40〜49、60〜69、400〜499、600〜699) | 小型自動車 | 貨物運送で使用 |
5・7(50〜59、70〜79、500〜599、700〜799) | 小型自動車 | 人の運送で使用 |
8(80〜89、800〜899) | 特殊用途自動車(小型・普通) | パトカーや教習車などの特殊な用途で使用 |
9(90、900〜999) | 特殊自動車(大型) | 建設機械を除く、フォークリフトなどの特殊な用途で使用 |
0(00〜09、000〜099) | 特殊自動車(建設機械) | ブルドーザーなどの特殊な用途で使用 |
このように、事業用自動車と自家用自動車の違いは、その使用目的やナンバープレートの色、分類番号によって簡単に識別できるようになっています。
<違い3>自動車重量税
自動車重量税は、車の重さや使い方、年数によって決まる税金です。一般的に、自家用自動車よりも事業用自動車の方がこの税金は安くなります。特に、車の重さが増えるほど、事業用自動車と自家用自動車の税金の差が大きくなる傾向があります。つまり、事業用自動車の方が自動車重量税が安く、費用の負担が少ないことがわかります。
<違い4>自動車保険料
事業用自動車の保険料は、自家用自動車に比べて高くなる傾向があります。これは、事業用自動車が不特定多数の人に運転されることや、走行距離や使用頻度が自家用車よりも多いため、事故を起こすリスクが高いと判断されるからです。
自動車保険は、事故のリスクが高いほど保険料も高くなる仕組みのため、業務で頻繁に使用される事業用自動車の保険料は、自家用自動車に比べて高く設定されることが一般的です。
<違い5>車検期間
事業用自動車と自家用自動車では、車検の期間にも違いがあります。事業用自動車は、安全性を保つために車検期間が短く設定されています。これは、事業用自動車が頻繁に使用され、走行距離も長くなるため、車両の劣化が早く進むことを考慮してのことです。
一方、自家用自動車は、新車購入後3年で初回車検を要し、それ以降は2年ごとに車検を受ける必要があります。自家用自動車は使用頻度が相対的に低く、車両への負担も少ない場合が多いため、車検間隔が長く設定されています。
以下の表は、事業用自動車と自家用自動車の車検期間の違いをまとめたものです。
自家用自動車
1回目 | 新車購入後 |
---|---|
2回目 | 初回から3年後 |
それ以降 | 2年ごと |
事業用自動車
1回目 | 新車購入後 |
---|---|
2回目 | 初回から2年後 |
それ以降 | 1年ごと |
この表からもわかるように、事業用車両の方がより頻繁に車検を受ける必要があることがわかります。
<違い6>定期点検整備
定期点検もまた、事業用自動車と自家用自動車の間で違いがあります。事業用自動車は業務で使用されるため、安全性を高めるためにより頻繁な点検が義務付けられています。定期的な点検整備を行うことで、運転者や乗客の安全を確保するだけでなく、事故を未然に防ぐことが目的です。自家用自動車の場合、点検は使用者の任意で行われることが多く、点検の頻度は事業用自動車に比べて低いです。
車種や用途によって定期点検整備を行うべき時期、点検項目数が異なります。
マイカー(自家用乗用車・軽自動車)
定期点検の時期 | 1年ごと 2年ごと |
---|---|
項目数 | 29項目 60項目 |
中小型トラック(自家用)・レンタカー(乗用車)
定期点検の時期 | 6ヶ月ごと 12ヶ月ごと |
---|---|
項目数 | 24項目 86項目 |
バス、トラック、タクシー(事業用)・大型トラック(自家用)・レンタカー(乗用車以外)
定期点検の時期 | 3ヶ月 12ヶ月ごと |
---|---|
項目数 | 51項目 101項目 |

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事業用自動車の登録手続き
事業用自動車は自家用自動車に比べて登録手続きが少し複雑です。国土交通省・運輸局から運送業の許可を得て、書類提出と手続きを行う必要があります。以下に、事業用自動車の登録手続きを順を追って説明します。
<手順1>運送業許可を取得する
まず、事業用自動車を使用して貨物や旅客の運送事業を行うためには、名義人が営もうとする自動車運送事業の区分ごとに、国土交通大臣の許可の取得または国土交通大臣への届出を行う必要があります。
名義人がすでに上記の手続きを完了していれば、自動車を事業用自動車として用いるための必要書類を運輸支局に提出できます。手続きを完了していない場合は、運送事業者としての許可の取得または届出を実施しなくてはなりません。
<手順2>事業用自動車等連絡書を作成する
事業用自動車を登録するためには、「事業用自動車等連絡書」を作成する必要があります。この書類は、運送業の許可を受けまたは届出を行った後、どの車両を事業用として使うかを示すためのものです。また、車両に関する変更があった場合にも、この連絡書を所轄の運輸支局へ提出する必要があります。例えば、以下の6つのケースで提出が求められます。
- 新たに自動車運送事業許可を取得しまたは届出を行う場合
- 車両を増やす(増車)場合
- 車両を減らす(減車)場合
- 車両を入れ替える(代替え)場合
- 営業所間で車両の配置替えをする場合
- 事業を廃止・休止する場合
このように、車両の種類や使用状況の変更がある際には、正確に記載して提出する必要があります。また、緑ナンバーの車を登録する場合は、警察署で発行される車庫証明は不要です。
<手順3>運輸支局で登録の手続きをする
事業用自動車等連絡書が準備できたら、運輸支局に車両を持ち込み、登録手続きを行います。この手続きには、以下の書類を提出する必要があります。
- 確認印が押された事業用自動車等連絡書
- 車検証原本
- 手数料納付書
- OCRシート
- 譲渡証明書(必要な場合)
- 委任状(手続きを委任する場合)
- 住民票(個人事業主の場合)
また、車両の点検やナンバープレートの取得も、この手続きの一部として行われます。なお、軽自動車の場合は、軽自動車検査協会で事業用ナンバーの登録を行います。
<手順4>登録が完了となる
すべての手続きが完了すると、事業用自動車として公的に認められます。車検証とナンバープレートが交付されたら車両に取り付けた後、業務で使用することが可能になります。
事業用自動車の登録で知っておきたいこと
事業用自動車を登録する際には、いくつかの注意点があります。これらのポイントを理解しておくことで、スムーズに登録手続きを進めることが可能です。
事業用自動車の取得には時間を要する
事業用自動車の取得には、思った以上に時間がかかることがあります。まず、運送業許可の取得に時間がかかり、その後も事業用自動車の登録手続きに時間を要することがあります。
特に緑ナンバーの場合は手続きから申請後の審査に4ヶ月前後の時間を要すると言われているため、業務の開始時期に間に合うようにスケジュールを組むことが、無駄な遅れを防ぐ鍵となります。必要な書類の準備や登録のための審査もあるため、余裕を持って計画を立てることが重要です。
自家用自動車を事業用自動車に変更する場合は自動車運送事業の許可または届出が必要
自家用自動車を事業用自動車に変更する場合には、自動車運送事業の区分に応じて国土交通大臣の許可の取得または国土交通大臣への届出を行う必要があります。単に車を業務で使うだけではなく、法的に事業用自動車として正しく登録し、緑ナンバー(軽自動車の場合は黒ナンバー)を取得する手続きが必要です。この手続きを経ることで、正式に自動車運送事業用に車を使用できるようになります。
さらに、車両を事業用に変更する際には、車両の管理体制や仕様が法律の基準を満たしていることも重要です。手続きには時間や手間がかかるため、行政書士などの専門家に任せることも検討することができます。専門家に依頼することで、書類の不備を防ぎ、スムーズに事業を進めることができるでしょう。
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まとめ
事業用自動車とは、自動車運送事業者が業務のために使用する車両であり、自家用自動車とは使用目的やナンバープレート、税制などに多くの違いがあります。事業用自動車を運用するには、運送業許可または届出や各種手続きが必要となり、実際に運用が可能となるまでには時間を要するため、計画的な準備が求められます。
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