運行管理者は、事業用自動車の安全運行を管理するために、営業所・事業所への配置が義務付けられています。運行管理者の資格を取得すると待遇の改善やキャリアアップにつながる可能性があり、転職時の強みともなるでしょう。
この記事では、運行管理者資格を取得する方法、資格試験の概要を解説。資格試験合格に向けた勉強法も紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
運行管理者とは?
運行管理者は、運転者の安全や業務遂行を管理し、安全運転を確保するための重要な役割を担っています。道路運送法及および貨物自動車運送事業法に基づき、緑ナンバー(注1)の車両を使用する営業所への配置が義務付けられています。白ナンバー(注2)車両(自家用自動車)は、安全運転管理者によって運行業務が管理されます。
ここでは、運行管理者資格の価値や業務内容を解説します。
注1:運送業許可を取得した事業者に交付され、運送業に使用する営業車両に取り付けられる、緑地に白い文字のナンバープレートのこと。 注2:緑ナンバーの車両以外の、自家用車や社用車として利用される自動車に取り付けられる、白地に緑の文字のナンバープレートのこと。なお、黄色ナンバーの軽自動車もここでいう白ナンバーに含まれます。運送業などで設置が義務付けられている国家資格のこと
運行管理者は、トラックやバス、タクシーの安全運行のために運送会社に配置することが義務付けられた国家資格です。資格の取得においては、国土交通大臣指定試験機関が実施する資格試験に合格する、または一定の実務経験を積み、講習を受講する方法があります。
具体的な業務内容
運行管理者は、道路運送法および貨物自動車運送事業法に従って、業務を行わなければなりません。運行管理者の業務は多岐にわたります。運転者の健康状態の把握、運転者の乗務割の作成、記録簿の管理、配送・運行ルートの指示などが挙げられます。運転者1人1人の業務管理から、安全運行を遵守する組織作りを目的とした業務まで幅広く業務を遂行する必要があります。
各業務の詳細は、以下の記事をご参照いただき確認してみてください。

運行管理者の仕事内容を解説!役割やメリット、向いている人の特徴とは?
運行管理者とは、貨物や旅客の運送業を営む企業での配置が義務化されている国家資格のこと。トラックやバスなど事業用自動車の安全な運行のために重要な役割を担っていますが、具体的にどのような仕事を行うのか詳しく知らない人も多いでしょう。本記事では、運行管理者の役割や仕事内容、メリットや向いている人の特徴を解説します。
運行管理者資格の取得方法
運行管理者になるためには、自動車運送事業の種別に応じ、貨物または旅客の運行管理者資格者証の交付を受ける必要があります。資格者証の交付には、「運行管理者試験に合格する」、「実務経験などの要件を満たす」の2つの方法があります。それぞれの取得方法の詳細を解説します。
運行管理者試験に合格する
国土交通大臣指定試験機関である公益財団法人運行管理者試験センターが年に2回(8月頃・3月頃)実施している運行管理者試験に合格することで、資格者証を得られます。貨物および旅客、2種類の試験があるため、交付を受けようとする事業の種類と同じ種類の運行管理者試験を受けましょう。

また、運行管理者試験は、2021年以降、CBT試験が導入されているため、年2回の定められた期間内であればいつでも受験可能です。
引用元:CBTS CBTとは何ですか?CBTとは「Computer Based Testing(コンピュータ ベースド テスティング)」の略称で、コンピュータを使った試験方式のことです。
実務経験などの要件を満たす
運行管理者試験に合格する方法以外に、国が定める一定の実務経験や講習を受講することで、一部の種類の運行管理者資格者証を取得できます。
具体的には、一定の事業用自動車の運行の管理に関する実務経験が5年以上、かつその実務経験の運行管理に関する講習を5回以上受講すること(受講する講習のうち1回は基礎講習であること)等が要件です。要件を満たし、指定の書類を提出することで手続き完了です。
この方法は、試験を受けずに運行管理者になれるため、試験勉強に割く労力を省けるメリットがあります。しかしながら、無資格で実務経験を積むのは難しいため、前述の試験に合格する方法が一般的といえます。
運行管理者試験の合格率や難易度は?
運行管理者試験の合格率は、貨物、旅客ともに30%〜40%の合格率です。令和5年度第2回運行管理者試験の結果は、「貨物」で受験者数22,493人のうち、合格者数7,701人(34.2%)、「旅客」で受験者数5,434人のうち、合格者数1,984人(36.5%)となっています。
基礎知識や実務経験がある試験者が受験する中で、決して高い合格率とはいえません。働きながら試験に向けての学習も思い通りに進まないこともあるため、あらかじめ試験情報を把握し、無理のない学習計画を立てることが大切です。
運行管理者試験の合格に必要な勉強時間の目安
運行管理者試験に合格するために必要な勉強時間は、50時間〜100時間と言われています。国家資格の中では、やや難しいレベルの資格といえるでしょう。100時間の勉強であれば、数週間程度、詰め込みで学習をすれば合格できる可能性もあります。
しかしながら、仕事をしながら学習を進める方がほとんどかと思います。数ヶ月間、1日2時間〜3時間程度の勉強時間を設け、腰を据えてコツコツと学習に取り組むことをおすすめします。
また、受験するためには運行管理に関する実務経験が1年以上あることが条件であることも忘れてはいけません。余裕のある勉強計画で学習を進めましょう。
運行管理者試験の概要
令和6年度第1回の試験概要は、運行管理者試験センターのウェブサイトをご確認ください。ここでは、試験日程・受験手数料および試験日までの大まかな流れについて紹介します。
試験日程・受験手数料
令和6年度第1回の試験日程・受験手数料は以下のとおりです。
試験日 | 令和6年8月3日(土)~9月1日(日) |
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申請期間 | 令和6年6月10日(月)〜7月10日(水) |
受験手数料等 | 受験手数料 6,000円 (非課税) システム利用料 660円 (税込) 試験結果レポート(※)140円(税込) (※)試験結果レポートは希望者のみです。 |
支払方法 | CBT試験専用サイトより、クレジットカード、コンビニ、ペイジー支払いを選択いただけます |
CBT試験のため、上記期間内でいつでも受験可能です。受験費用は、新規受験および再受験どちらも6,000円(非課税)で、新規受験の場合には、システム利用料660円(税込)がかかります。再受験の場合には、システム利用料660円(税込)に加えて、事務手数料220円(税込)がかかります。
試験日までの大まかな流れ
試験日までの流れ、手続きの手順を紹介します。
- 受験の申請
- 書類審査・審査完了のご案内
- 試験日時、会場、お支払い
- 試験当日
初めに、受験申請の必要な情報を入力します。メールアドレス、申請情報、受験資格情報の入力、次に本人確認書類・顔写真のアップロードをします。受理されると「受験申請受付のお知らせ」のメールが届きます。
書類の審査が終わると、「CBT試験会場予約等の手続きのご案内」のメールが届きます。このメールからCBT試験専用サイトにアクセスし、試験会場と日時の選択および受験手数料等のお支払い手続きを完了させましょう。入金が完了すると、「受験確認書」のメールが届きます。ここまでの手続きを行わないと、申請手続きが完了しません。
試験当日は、受験確認書メールに記載されている日時に、顔写真付き本人確認書類(運転免許証等)および受験確認書メールを持参して、予約した試験会場に来場し、受験します。受付時に顔写真付き本人確認書類を提示できない場合は、受験できなくなってしまうため、必ず持参するようにしましょう。
運行管理者試験のおすすめの勉強法
運行管理者試験には法律関連の問題や計算問題も出題されるため、一定の知識水準が求められます。ここでは、運行管理者試験に合格するおすすめの勉強法を紹介します。
過去問や最新版のテキストで勉強する
勉強に使用する参考書は、直近の法改正や出題傾向を把握する必要があるため、最新版のテキストを購入しましょう。また、要点がまとまっている、効率よく学べるなど、自分にとって分かりやすい参考書を選び、理解を深めることが大切です。
試験範囲を網羅したのちに、過去問も解いておくことをおすすめします。運行管理者試験は、過去問と類似の問題が出題される傾向があるため、試験合格に向けた学習に効果的です。過去問を繰り返し解くことで、時間配分や出題傾向を掴むことが重要です。試験日から逆算して、計画的に学習を進めましょう。
パソコン操作に慣れておく
2021年以降、運行管理者試験は、CBT試験に移行されています。筆記試験がないため、パソコン操作に慣れておくと、試験本番で緊張せずに問題に取り組めるでしょう。また、上述している試験の申し込みについてもインターネットで行う必要があります。
試験もパソコン上に表示される問題にマウスで回答していく形となるため、戸惑わないように操作に慣れておく必要があります。
運行管理者資格を取得するメリット
運行管理者になるメリットを事前に知っておくことで、資格の取得に向けた試験勉強も捗ることでしょう。ここでは、待遇面や雇用の安定性について解説します。

待遇面がよくなる
運行管理者になると、待遇面に反映される可能性があります。運転者から管理者へ移行することで、給与アップが見込めるかもしれません。会社によっては、資格手当が付くこともあります。
資格を持っていることで転職の際にも有利に働くでしょう。資格所有を条件とする会社への応募が可能となりますが、採用企業からすると、運行管理者の合格率は決して高くはないため、価値のある人材として採用したい意向が強いと考えられます。運行管理者の資格を持つ求職者は、好待遇で転職できる可能性があります。
また、運行管理者は、設置義務のある企業に必ず雇用しておく必要があるため、企業の人員を削減する状況下でも、解雇の対象になりづらい側面もあります。
長期的に働ける
運行管理者は、運送業において欠かせないポジションのため、業界内で必要とされる人材といえるでしょう。仕事内容も基本的には内勤の仕事がメインです。
運転者であれば、荷物の積み込みや長時間労働など体力が求められます。年齢に応じ、体力の衰えで長く働くのが難しいと感じる人もいるでしょう。運行管理者であれば、体力に影響しない内勤で、周囲とコミュニケーションをとりながら、業務を進められます。
また運行管理者は、事業所の業務改善に関わり、多岐にわたる業務を行います。問題を解決し、運転者に感謝されたり、企業利益に貢献できたりするため、やりがいを感じられるのも魅力でしょう。
運行管理者業務を効率化するなら「MIMAMO DRIVE」がおすすめ
MIMAMO DRIVEとは東京海上スマートモビリティが提供する、車両管理・リアルタイム動態管理サービスです。シガーソケット型端末を車両に搭載するだけで、管理者は車両を一元管理できます。
MIMAMO DRIVEでは、日報の自動化に加えてアルコール検知器のチェック結果の写真や測定結果の数値も、日報と一緒に一元管理する機能を搭載しています。そのほか、リアルタイムでの走行状況をマップで確認できたり、走行距離を自動で記録できたりする便利な機能が多数あります。
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ほかにも急ブレーキや急カーブなどの発生地点も確認できる機能があり、運転者に安全運転指導ができるので事故防止にもつながります。
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「MIMAMO DRIVE」を導入するメリット
MIMAMO DRIVEは車両に関する重要な情報を一元管理できます。
- アルコールチェック記録簿と日報を一元化
- ペーパーレス化による管理作業時間を短縮
- リアルタイムで位置情報を可視化し、管理業務の効率化
- 運転者の安全運転意識と運転マナーの向上
- 全車両の一元管理で車検や保険の更新漏れを防止
上記のメリットのほかに、MIMAMO DRIVEは、運転者がスマホから入力可能なところも運転者が漏れなく記録できるポイントです。例えば、スマホからなら直行直帰や出張などで営業所に立ち寄れない場合でも、アルコール検知器によるアルコールチェックの結果を日報にその場であげることができます。とくに遠隔の場合は、紙媒体だと車両に持ち込み忘れたり、紛失したりする恐れがあります。MIMAMO DRIVEなら、遠隔でも運転者が記入したかどうかを確認することができ、記録簿の紛失の心配もいりません。
導入事例
乳製品の卸売販売と小売店舗を営む永島牛乳店様の事例をご紹介します。永島牛乳店様では、取引先への商品の納品用に5台の社用車を保有しています。運転者の自損事故をきっかけにMIMAMO DRIVEを導入しました。
リアルタイムで車両の位置情報を把握できるため、運転者が出発後に追加注文が入った際にも、代わりに動きやすい運転者を見つけて効率よく指示出しができるようになりました。また、納品時間を気にされる取引先へのご案内もスムーズにできており、全体を通じて、管理者の負担削減につながっています。
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また、車両管理も車検満了日などは管理表を作成し運用していましたが、台数が多く負担を感じていました。導入後はMIMAMO DRIVEで一元管理し、業務の効率化を実現しています。
- MIMAMO DRIVE 資料紹介
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MIMAMO DRIVEは社有車に関する “経営者” “車両管理者” “運転者”皆様のお困りごとを解決する、 車両管理・リアルタイム動態管理サービスです。サービスの概要や主な機能、活用事例を簡単にご紹介しています。サービスの導入をご検討されている皆様にぜひご覧いただきたい資料になります。
まとめ
運行管理者の設置義務のある営業所にとって、運行管理者資格を持つ人材は重宝されます。また、安全運転を徹底する組織作りに向けて、多岐にわたる業務を遂行する必要があるため、欠かせない存在となるでしょう。
運行管理者試験は、決して簡単なものではありませんが、計画的に学習を進めることで、合格できる可能性が高まります。待遇やキャリアにもメリットの大きい運行管理者資格の取得を目指してみてはいかがでしょうか。