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OBD車検完全ガイド!2024年10月から開始の新検査のすべてを徹底解説

【Excel】車両管理台帳テンプレート

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車両管理台帳のExcelテンプレートです。
車両情報の他に保険、車検、修理記録などを記録することができます。
また、テンプレートに登録した車両は一覧でも管理することができるテンプレートとなっています。

※この記事は2025年01月28日時点の情報を基に執筆しています。 OBD車検完全ガイド!2024年10月から開始の新検査のすべてを徹底解説のサムネイル

2024年10月に始まった「OBD車検」。「具体的にどういう目的で、どのような検査をされるのか」疑問を抱いている人も多いのではないでしょうか?

本記事では、OBD車検について網羅的にお話しします。
この記事を読み終える頃には、OBD車検概要や仕組み、車検の流れ、メリット・デメリットについての理解が深まるでしょう。
ぜひ、今後の業務にお役立てください。

OBD車検とは?

そもそもOBDとは何なのかという疑問をお持ちの方もおられるでしょう。OBD(On-Board Diagnostics)とは、車載型故障診断装置を指します。専用の診断機器を接続することで、車両各部の故障や不具合の有無を効率的に確認することが可能です。

この仕組みは、自動車の適切なメンテナンスや安全性の向上に寄与しています。

そしてOBD車検(OBD検査)は、車検時に車両の故障や不具合をOBDを使って診断して、問題がないかどうかを確認するものです。本検査を行うことで自動運転技術などに用いられる電子制御装置が適切に機能しているかを調べることができます。

近年、自動運転技術や先進的な安全装置が普及する中で、これらが正しく作動するためには、定期的な検査が不可欠であり、一定の条件を満たす車両に対して法的に義務づけられています。

OBD車検が導入された背景

OBD車検を行う目的は、自動車に内蔵されたコンピューターシステムが正常に作動しているかを検査し、誤作動による事故やトラブルを未然に防ぐことです。

近年、自動ブレーキや駐車支援システムなどの自動運転技術や運転支援技術の開発が進む一方で「経年劣化による誤作動のリスク」や「正しく機能するのか」という懸念が存在します。

また、現行の道路運送車両法では、公道を走行する車両に定期的な自動車検査(車検)が義務づけられているものの、コンピューターシステムに関連する検査項目は設けられていません。そのため、システムに異常があった場合でも車検に合格し、公道を走行できる状況が生じていました。この問題を解消するために導入が進められているのがOBD車検です。

現状では、各車両に搭載されている「警告ランプ」でしか不具合を検知できません。しかし、警告ランプ自体が故障している場合、整備士などの専門家であっても不具合を見つけることは困難です。このため、OBD車検による精緻なメンテナンスの実施が期待されています。

OBD車検の仕組み

OBD車検では、従来の警告ランプでは検知が難しい車両の故障や不具合を、車載コンピューターを活用して検出します。OBDには故障コード(DTC)が蓄積されており、法定スキャンツール(外部故障診断機)を使用してコードを読み取ることで、故障の状態や修理の必要性を自動的に把握できる仕組みです。

さらに、取得した情報は端末から自動車技術総合機構が運営するサーバーに送信され「特定DTC」の有無を確認したうえで、検査の合否結果が端末へ返されます。この一連の流れにより、車両の状態を正確かつ効率的に判断できるようになります。

OBD点検とOBD検査の違い

下で説明する内容のイメージ図

OBD点検およびOBD検査は、自動車の安全性や性能を維持するために導入された診断手法ですが、それぞれの目的や対象が異なります。

OBD点検は、2021年10月1日より導入された法定定期点検の一環であり、法定12ヶ月点検で行うことが義務となりました。自動車の故障やトラブルを未然に防ぎ、性能を維持することを目的としています。この点検では、車載故障診断装置(OBD)の診断結果を確認します。

対象車両は、自動車の年式を問わず、車載故障診断装置が搭載されているすべての自動車です。(国土交通省:どのような自動車が、OBD 点検の対象になりますか。)これにより、より高い精度で自動車の状態を把握し、安全性の確保やトラブル防止に役立てることが可能となります。

一方、OBD検査は「車検」の検査項目に追加される診断で、2024年10月1日(輸入車の場合は2025年10月1日)から義務化されました。

この検査では、専用のスキャンツールをOBDポートに接続し、故障コード(DTC)を読み取ります。その上で、保安基準に適合しないものとして 自動車メーカー等よりあらかじめ提出される特定の故障コード(特定 DTC という) と照合することにより、合否を判定します。対象車両は、大型特 7 殊自動車、被牽引自動車及び二輪自動車を除く自動車のうち、令和3年10月1日 以降の新型車(輸入車の場合は令和4年10月1日)です。

OBD点検は予防的な診断であるのに対し、OBD検査は保安基準への適合性を判定するための診断です。

OBD車検のメリット

下で説明する内容のイメージ図

保安基準違反を未然に防ぐ

従来の検査方法では、目視や手作業に依存していたため、コンピューターシステムに関する不具合が見逃されるリスクがありました。しかし、OBD車検では車両の電子制御システムから取得するエラーコードを活用することで、これらの課題を解消します。

また保安基準に違反している車両を迅速かつ正確に検出することが可能となり、メンテナンスが精微にできるようになります。結果として、重大な事故を未然に防ぐことにつながるでしょう。

人為的なミスを防止

従来の検査方法では、警告ランプを全て目視で確認する必要がありましたが、警告ランプの数が多い場合や、マルチディスプレイ方式のように表示様式が異なる場合には、検査員による見落としなどの人為的ミスが発生するリスクがありました。

一方、OBD車検では車両のコンピューターシステムを使い、異常をデータとして正確に検出します。この仕組みにより、検査の信頼性が向上するとともに、確認作業がスムーズに進む点が大きなメリットとなります。

車の状態をより詳細に把握

OBDでスキャン可能な故障コードは細分化されており、OBD車検を実施することで、従来よりも詳細かつ信頼性の高い診断結果を得ることが可能です。具体的には、エンジン各部位や排気システム、ブレーキなど、車両の多様な機能に関するデータを自動で収集・分析します。この診断結果に基づいて、修理や部品交換が必要な箇所を明確に特定できるため、より正確で効率的なメンテナンスが行えるのです。

詳細な診断結果は、車両の安全性向上に役立つだけでなく、排出ガスの適正管理を通じて環境保全にも寄与します。OBD車検は、安全で持続可能な車両管理をサポートする、重要なツールといえるでしょう。

警告灯の点灯原因を正確に特定

OBD車検では故障コードを活用するため、警告ランプ本体に不具合がある場合でも、診断結果に影響を及ぼしません。そのため「OBD車検で異常が検出されているのに、警告ランプが作動していない」といった状況では、警告ランプの異常点灯や消灯の可能性が疑われます。

OBD車検は、警告ランプに依存せずに正確な異常検出を行うことで、車両の安全性と信頼性を確保する有効な手段といえるでしょう。

目に見えない故障も早期発見

OBD車検の最も特筆すべき特徴は、警告ランプが点灯していない場合でもシステム内の潜在的な異常を検知できる点です。一般的に、ドライバーが異常を認識するのは警告ランプが点灯してからですが、OBDシステムは警告ランプが点灯する前に潜在的な不具合を検出します。

これにより、適切な対応を素早く行うことが可能となり、大きな故障やトラブルを未然に防ぐことができます。

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OBD車検の検査要件と対象となる車両

プレテスト期間を含め、現時点では「運輸支局に持ち込まれる車検車両」がOBD車検の対象となります。ディーラーや整備工場では対応していないため、注意が必要です。

具体的な対象車両の条件は以下の通りです。

OBD車検の対象車両

  • 型式指定自動車または多仕様自動車
  • 対象車種:乗用車、バス、トラック(分類コード:M1、M2、M3、N1、N2、N3)
  • 国産車:2021年10月1日以降に販売された新型車(フルモデルチェンジ車)
  • 輸入車:2022年10月1日以降に販売された新型車(フルモデルチェンジ車)

※ただし、大型特殊自動車や二輪自動車(側車付を含む)は対象外です。

対象車両の確認方法

所有している車両がOBD車検の対象車両かを確認する方法は下記です。

①初度登録年月日と型式の確認
②自動車検査証の備考欄を確認
・「OBD検査対象」の記載があるか確認してください。
・電子車検証の場合はICチップの読み取りで確認できます。
③特定DTC照会アプリでの確認

なお、自動車検査証に「OBD検査対象」と記載がある場合でも、型式指定の日から2年かつ初回登録から10ヶ月が経過するまでの間は、OBD検査の対象となりません。(国土交通省:OBD検査の対象となる車は?)

OBD車検の対象装置

排出ガス等発散防止装置 路運送車両の保安基準が定める装置
運転支援技術 ・車両接近通報装置
・アンチロックブレーキシステム(ABS)
・自動ブレーキ(AEB/AEBS)
・ブレーキアシストシステム(BAS)
・横滑り防止装置(ESC/EVSC)
自動運転技術 UN/ACSFで審議し、UN規則が成立している自動運転技術
・Category A、B1、C
・緊急操舵技術(ESF)

OBD検査にかかる費用

OBD車検の費用は、1台あたり400円です。この費用には、自動車の電子制御を担う「ECU情報」や、保安基準を満たしていない場合に記録される「特定DTC情報」など、OBD車検に必要な膨大なデータを自動車技術総合機構が管理するための費用が含まれています。

OBD検査はどこで受けられる?

OBD検査は、特定DTC照会アプリや検査用認定スキャンツールを導入している車検整備工場で受けることが可能です。現在、対応準備を進めている工場も増えています。ただし、必ずしも全ての整備工場が対応可能かはわかりません。そのため、車検を依頼する際には、事前に「OBD検査に対応しているかどうか」を確認しておく方が無難と言えます。

OBD車検に関するよくある質問

もしOBD検査で不合格になったら?

OBD検査で不合格となった場合、修理を行わなければ車検に通過することはできません。

不合格時には、地方運輸局長などの認証を受けた整備工場で当該箇所の修理を実施し、保安基準を満たしましょう。

仮に不合格になっても、適切な整備を行うことで車検を通過することが可能です。

ユーザー車検はOBD車検後もできる?

おそらく車検は、業者に依頼して行う人が多いでしょう。

しかし、近隣の陸運支局に自ら車を持ち込んで車検を受けるユーザー車検を選ばれる方もおられると思います。

そんな方にとって、今後はユーザー車検が無くなってしまうのかと気を揉まれている方もいるかもしれません。

しかし心配には及びません、ユーザー車検はOBD車検開始後も引き続き利用することが可能です。

ただユーザー車検を実施する場合でも、法定スキャンツールを自ら用意するか、法定スキャンツールを利用できる施設でOBD検査に合格する必要があることを念頭に入れておきましょう。

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まとめ

2024年10月から始まったOBD車検は、自動車のコンピューターシステムを正確に検査する新しい仕組みです。OBD車検の導入により、従来の車検では見逃されがちだった故障や不具合を効率的に検出し、交通安全の向上や車両の信頼性維持が期待されています。

事前準備を行い、知識を蓄え、適切に検査を受けるようにしましょう。

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