※この計算は、事業場ごとの所定労働時間や休憩時間の違いや、月の日数の違いを考慮していないため、あくまでの「目安」です。
引用:厚生労働省 トラック運転者の改善基準告示
1日の拘束時間
最新の改善基準告示では、1日(始業開始から起算して24時間のことを指す)の拘束時間を原則13時間以内としています。この時間には、運転時間、休憩時間、点呼時間などが含まれます。拘束時間を延長する場合は、最大で15時間までを上限として認められることもあります。また例外として、1週における運行が全て長距離貨物運送(450km以上)、かつ、勤務先の事業場を出発し、帰着するまでの休息期間が住所地以外の場所である場合、1週につき2回に限り拘束時間を16時間まで延長することができます。ただし、いずれにしても、14時間を超える回数は週2回までが目安とされています。なお、労使協定を結んで月の拘束時間の上限を引き上げない限り、月の拘束時間は284時間が上限ですので、1日の拘束時間を15時間まで延長する場合には、他の日の拘束時間を大幅に短くする必要があります。
参照:厚生労働省 PDF「令和6年4月〜適用 トラック運転者の労時間等の改善基準のポイント」
1日の休息期間
1日の休息期間は、勤務終了後に継続して11時間以上を確保することが基本です。ただし、最低でも継続9時間は下回らないようにしなければなりません。例外として、1週間のすべての運行が長距離貨物運送であり、その運行中の休息が自宅以外の場所で行われる場合、その週に限り2回まで継続8時間以上の休息とすることができます。休息期間のいずれかが継続9時間を下回る場合、運行終了後に継続12時間以上の休息期間を確保しなければなりません。この休息期間は、運転者の疲労回復と健康維持のために非常に重要であり、連続した休息を確保することが求められます。
連続運転時間
連続して運転できる時間は4時間が限度です。4時間を超えた場合は、30分以上の休憩を取ることが義務付けられています。運転の中断を挟む場合は1回につきおおむね10分以上、合計30分以上運転を中断し、当該中断時間を除いた連続運転時間を4時間以内にしなければなりません。万が一、サービスエリアやパーキングエリアに駐車できないなど、やむを得ず合計運転時間が4時間を超える場合、30分までの延長が可能です。それ以上の連続運転は事故のリスクを高めるため、定期的な休憩を取ることが必須です。
また「運転の中断」について、今回の改正により「原則として休憩」を与えるとされていることにも注意しなければなりません。これは、トラック運転者が運転を中断して荷積み・荷下しの作業を行うことでは十分な休憩が確保されない実態を踏まえたためです。運転中断の際に作業を行ったとしても改善基準告示違反になるものではありませんが、そもそも中断時には適切に休憩が確保される運行計画を作成する必要があります。
4. 改善基準告示には特例がある
改善基準告示には、運行管理の柔軟性を確保しながら、運転者の健康と安全を守るための特例がいくつか設けられています。これらの特例は、予期し得ない事象に対応する時間を連続運転時間から除外することや、休息期間を細分化することが含まれます。また、特定の条件下では2人での乗務や隔日勤務が認められ、フェリー乗船中の時間を休息期間として扱うことも可能です。これらの特例を適切に活用することで、運行管理者は安全かつ効率的な運行を維持しつつ、運転者の負担を軽減することができます。
予期し得ない事象の対応時間は連続運転時間から除ける
予期し得ない事象とは、車両の故障、フェリーの欠航、災害や事故による道路封鎖、異常気象などを指します。これらの対応時間は「連続運転時間」「1日の拘束時間」「2日平均の運転時間」から除外されるため、運行計画に柔軟性を持たせることができます。具体的には、修理や待機時間、陸路移動時間、災害や事故に伴う渋滞や封鎖解除までの待機時間などが該当します。
予期し得ない事象に遭遇し対応するためには、運転日報や公的機関の情報などの客観的な記録を残す必要があります。また、対応時間を含めて拘束時間が上限を超えた場合は、勤務終了後に1日の勤務で継続11時間以上、2日の勤務で継続24時間以上の休息期間を与える必要があります。
ただし、この特例は1日の拘束時間や2日平均の運転時間や連続運転時間の例外的な取り扱いとなります。運転者と運行管理者は、これらの特例を理解し、適切に活用して安全な運行を確保することが求められます。
休息期間を細分化できる
改善基準告示では、特定の条件下で休息期間を細分化して与えることが認められています。この分割休息は、1回あたりの休息期間を3時間以上とする必要があります。2分割の場合、休息期間の合計は10時間以上、3分割の場合は合計12時間以上としなければなりません。ただし、3分割となる日が連続しないようにし、分割休息の日は1ヶ月の全勤務回数の半分を超えないようにする必要があります。
実際の運行では、作業状況や荷待ちなどの影響で計画通りの運行が難しく、継続して9時間以上の休息期間を確保できない場合があります。このような場合、1ヶ月程度の一定期間における全勤務回数の半分を限度に、休息期間を拘束時間の途中や拘束時間の直後に分割して与えることが可能です。
休息期間を分割して与える際には、1回の休息期間を3時間以上とする必要があります。2分割で合計10時間以上、3分割で合計12時間以上としなければなりません。さらに、3分割する日が連続しないように努めることも重要です。
ただし、トラック運転者の疲労回復の観点から、連続した休息期間を確保することが理想的です。分割休息は本来好ましくないため、できる限り連続した休息を確保するよう心がけることが推奨されます。
条件により2人での乗務ができる
2人での乗務とは、1台のトラックに2人の運転者が乗務する運行形態で、ツーマン運行とも呼ばれます。この運行方式により、拘束時間や休息期間に特別な取り扱いが認められています。
2人で乗務の場合、トラックの車内に身体を伸ばして休息できる設備があるときに限り、1日の拘束時間を20時間まで延長することができます。休息期間も4時間まで短縮することが可能です。また、車両内の設備が特定の基準を満たしている場合、拘束時間をさらに延長することができます。具体的には、長さ198cm以上、幅80cm以上で、クッション材により走行中の路面からの衝撃を和らげるベッドを車両内に備えているなら、1日の拘束時間は24時間まで延ばせます。この場合、運行終了後には11時間以上の休息期間が必要です。
さらに、車両内ベッドで8時間以上の仮眠時間が確保される場合には、拘束時間を28時間まで延長することが可能です。ただし、車両内ベッドが運転席の上部に設置されているなど、安全な乗車が確保できない場合には、一人の運転者が運転中にもう一人の運転者がそのベッドを使用することは認められていません。
やむを得ない場合は隔日勤務ができる
隔日勤務とは、1日おきに勤務する働き方のことを指します。この勤務形態は、業務の必要上やむを得ない場合に限り、特別に認められています。
隔日勤務では、2暦日の拘束時間が21時間を超えず、勤務終了後に20時間以上の継続休息期間を確保することが条件となります。業務の必要上やむを得ない場合で、この条件を満たすときは、隔日勤務が可能です。また、仮眠施設で夜間に4時間以上の仮眠を取る場合には、2週間に3回まで、2暦日の拘束時間を24時間まで延長することができます。ただし、2週間の合計拘束時間は126時間以内に収める必要があります。
具体例を挙げると、例えば月曜と火曜、水曜と木曜、金曜と土曜という2暦日ごとの勤務が設定されている場合、それぞれの2暦日で拘束時間を管理します。例えば、月曜と火曜、金曜と土曜は午前9時から翌日の午前6時までの勤務(拘束時間は21時間)とし、水曜から木曜にかけては夜間に4時間の仮眠を取ることで、水曜日の午前9時から木曜日の午前9時までの24時間の拘束時間とすることが認められます。
このように、隔日勤務の特例を活用することで、運行管理者は業務の柔軟性を保ちつつ、運転者の健康と安全を守ることができます。ただし、2週間の合計拘束時間が126時間を超えないように、厳密な管理が必要です。隔日勤務を計画する際には、これらの基準を遵守し、労働時間の適正な管理を心がけることが重要です。
フェリーの乗船時間は休息時間となる
フェリーの乗船時間は、原則として休息期間として扱われます。これは、改善基準告示に基づく特例であり、運行の途中でフェリーに乗船する際に適用されます。フェリー乗船時間が8時間を超える場合、下船時刻から次の勤務が開始されるのが基本です。
例えば、運行中にフェリーに乗船した場合、その乗船時間は1日の休息期間から差し引くことができます。ただし、減算後の休息期間は、2人乗務の場合を除き、フェリー下船時刻から勤務終了時刻までの時間の半分以上を確保する必要があります。
フェリー乗船時間が8時間以下である場合は、通常の休息期間の下限である9時間から乗船時間を引いた時間を休息期間として確保します。
例えば、6時間のフェリー乗船時間がある場合、9時間から6時間を引いた3時間の休息期間が必要となりますが、さらに下船後の休息期間として、勤務終了までの時間の半分以上を確保しなければなりません。この場合、例えば下船時刻から勤務終了までの時間が7時間であれば、その半分である3.5時間以上の休息期間が必要です。
また、フェリー乗船中に運転日報を記載する時間や車両を移動する時間は労働時間と見なされるため、休息期間には含まれません。この点を考慮し、フェリー乗船時間を休息期間として計算する際には、正確な労働時間管理が求められます。
これらの特例を活用することで、運行管理者は安全かつ効率的な運行を維持しながら、運転者の労働条件を柔軟に調整することができます。
5. 運行管理下における休日の考え方
交通・運輸業を経営する方は、雇用している運転者に対して適切な休日を提供することが求められます。改善基準告示によれば、休日とは「休息期間+24時間の連続した時間」を指します。これは、どんな状況においても30時間を下回ってはなりません。
通常勤務の場合、運転者の休息期間は9時間以上でなければならず、したがって休日は9時間の休息期間に24時間を加えた33時間の連続した時間を必要とします。また、隔日勤務の場合は、20時間の休息期間に24時間を加えて44時間以上の連続した時間が必要です。
さらに、2人乗務やフェリーに乗船する場合など、休息期間を分割して付与する場合もあります。この場合、休息期間に24時間を加えても合計時間が30時間に満たないときは、連続した30時間の労働義務のない時間が確保される必要があります。したがって、休日は必ずしも暦の1日(0時から24時まで)である必要はなく、「休息期間+24時間の連続した時間」が30時間以上確保されていればよいのです。
運転者に対して適切な休日を提供することで、ワークライフバランスを整え、運転者の健康を守るとともに、安全な運行を実現することが可能です。業務が多忙でも、違法な勤務を強いることなく、運転者の休日をしっかりと確保することで、重大な交通事故のリスクを減らし、持続可能な業務運営が可能になります。
したがって、運行管理者は運転者の休日を正しく管理し、規定に基づいた連続した休息時間を提供するよう努めることが求められます。
6. 運行管理でよくあるQ&A
点呼・会議など運転以外の労働時間や休憩時間は拘束時間に該当しますか?
改善基準告示における拘束時間とは、労働時間と休憩時間(仮眠時間を含む。)の合計時間、すなわち、始業時刻から終業時刻までの使用者に拘束される全ての時間をいいます。拘束時間に該当するか否かは、個別の事案の実態に応じて判断することとなりますが、運転以外の、点呼、会議等の労働時間はもちろん、休憩時間についても、拘束時間に該当します。
長距離トラックは2日間連続で運行できますか?
基本的に、長距離トラックの2日間連続運行は望ましくありません。運転者は適切な休息時間を確保し、安全運行を徹底する必要があります。
拘束時間内で運転できる時間にも制限があります。具体的には、2日間(始業開始から48時間)の平均で、運転時間は1日当たり9時間までと定められています。例えば、前日に10時間運転した場合、翌日は8時間までしか運転できません。
また、2週間を平均した1週間当たりの運転時間は44時間が上限です。このように、運転時間の制限を守り、適切な休息を取ることが求められます。
分割休息特例の「業務の必要上やむを得ない場合」とはどのような場合を指しますか?
分割休息特例の「業務の必要上やむを得ない場合」とは、突発的な事象や予期し得ない交通状況などが該当します。
厚労省によると、例えば、出発直前に荷主から着時刻の変更の申出があり、休息期間を分割せざるを得なくなった場合等がこれに該当します。とされています。
引用元:厚生労働省「自動車運転者の労働時間の改善のための基準(改善基準告示)」Q&A
7. 過労運転等を防止するために運行管理者が行うべき対応
運行管理者は、運転者の過労運転を防ぐために、適切な勤務シフトの設定や休憩時間の確保、健康管理の徹底を行う必要があります。また、定期的な健康診断やメンタルヘルスケアも重要です。以下に各項目別の対応方法をまとめました。