酒気帯び運転とは、運転者がアルコールを摂取し、酒気を帯びた状態で車を運転することを指します。
運転者だけでなく、同乗者や飲酒を勧めた者も罰則の対象となることがあります。交通事故のリスクを高めるため、飲酒運転に対する厳しい規制が設けられています。本記事では、酒気帯び運転の基準値や罰則、処分、そして酒酔い運転との違いについて詳しく解説します。
酒気帯び運転とは?

酒気帯び運転は、血中アルコール濃度が0.3mg/ml以上又は呼気中のアルコール濃度が0.15mg/l以上の状態で運転する場合に罰則の対象となります。
アルコールの影響で注意力や判断力が低下し、交通事故のリスクが高まるため、厳しい罰則が設けられています。
酒酔い運転との違い
酒酔い運転とは、運転者がアルコールの影響により正常な運転ができない状態で運転することを指します。具体的には、血中アルコール濃度や呼気中のアルコール濃度にかかわらず、客観的に見てアルコールの影響により車両等の正常な運転ができないおそれがある状態で運転することを言います。
酒気帯び運転は数値で罰則の基準が定められていますが、酒酔い運転は運転能力の状態で判断されます。例えば、血中アルコール濃度が低くても、ふらつきや異常な運転行動が見られる場合は酒酔い運転とみなされる可能性があります。
飲酒運転の罰則対象は運転者だけではない
飲酒運転の罰則は運転者だけでなく、同乗者や飲酒を勧めた者にも及びます。例えば、運転を予定している人に飲酒を勧める、飲酒後の運転であることを知りながら放任した場合も法律違反となります。同乗者が飲酒運転を未然に防がなかった責任も問われるため、共に安全運転を心掛けることが重要です。
酒気帯び運転の罰則・行政処分
酒気帯び運転に対する罰則は非常に厳しいものです。初犯であっても罰金刑、場合によっては懲役刑となる可能性もあります。また、行政処分として免許停止や免許取り消しの対象ともなり得ます。以下は具体的な罰則・行政処分の内容です。
酒気帯び運転の罰則
酒気帯び運転に対する罰則は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金です。また運転者のみならず、車両の提供者や酒類の提供者、同乗者にも罰則が厳格に適用されるため注意が必要です。
車両等を運転した者 | 3年以下の懲役又は50万円以下の罰金 |
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車両等を提供した者 | 3年以下の懲役又は50万円以下の罰金 |
酒類を提供した者又は同乗した者 | 2年以下の懲役又は30万円以下の罰金 |
酒気帯び運転の行政処分(※前歴及びその他の累積点数がない場合)
酒気帯び運転には以下のような行政処分があります。呼気中アルコール濃度0.25mg/l以上の場合、免許の取消しだけでなく、2年間運転免許の再取得ができません。
呼気中アルコール濃度0.15mg/l 以上 0.25mg/l 未満 | 基礎点数 13点 | 免許停止 期間90日 |
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呼気中アルコール濃度0.25mg/l以上 | 基礎点数 25点 | 免許取消し 欠格期間2年 |
「欠格期間」とは、運転免許の取消処分を受けた者が運転免許を再度取得することができない期間を指します。
酒酔い運転の罰則
参考までに酒酔い運転の罰則も記載しておきます。酒気帯び運転と同様に、運転者のみならず、車両の提供者や酒類の提供者、同乗者にも罰則が厳格に適用されるため注意が必要です。
車両等を運転した者 | 5年以下の懲役又は100万円以下の罰金 |
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車両等を提供した者 | 5年以下の懲役又は100万円以下の罰金 |
酒類を提供した者又は同乗した者 | 3年以下の懲役又は50万円以下の罰金 |
酒酔い運転の行政処分(※前歴及びその他の累積点数がない場合)
酒酔い運転にも以下のような行政処分があります。
酒酔い運転 | 基礎点数 35点 | 免許取消し 欠格期間3年 |
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アルコール濃度が0.15mg未満の場合でも違反に該当するの?
アルコール濃度が0.15mg未満の場合でも、酒気帯び運転として刑罰は科されませんが違法行為であることに変わりはありません。また、運転者の状態によっては、酒酔い運転として刑罰の対象となることがあります。これは、アルコールの影響が明らかに運転に支障をきたしている場合に適用されることが多いです。例えば、検問時での会話や運転行動の観察、平衡感覚のチェックにより酒酔い運転と見なされることがあります。
引用元:警察庁 みんなで守る「飲酒運転を絶対にしない、させない」いくら基準値に達していないとしても、アルコールは少量であっても、脳の機能を麻痺させます。
アルコールには麻痺(まひ)作用があり、脳の働きを麻痺させます。 一般に「酔う」とは、血中のアルコール濃度が高くなることにより、大脳皮質(理性や判断をつかさどる部分)の活動をコントロールしている大脳下部の「網様体」が麻痺した状態を言います。お酒に酔うと、顔が赤くなる、多弁になる、視力が低下するなどの変化が現れ始め、さらに知覚や運転能力をつかさどる部分が抑制されることにより、同じ話を繰り返したり、足元がふらついたりします。
このように、飲酒時には、安全運転に必要な情報処理能力、注意力、判断力などが低下している状態になります。具体的には、「気が大きくなり速度超過などの危険な運転をする」、 「車間距離の判断を誤る」、「危険の察知が遅れたり、危険を察知してからブレーキペダルを踏むまでの時間が長くなる」など、飲酒運転は交通事故に結びつく危険性を高めます。
そのため、お酒に強いかどうか、アルコール基準値に達しているかどうかに関わらず、お酒を飲んだら絶対に運転しないことを心がけましょう。
どのお酒をどのくらい飲むと基準値に達するの?
どのくらいの量のアルコールを摂取すると酒気帯び運転の罰則の基準値に達するかは個人差がありますが、一般的な目安としては、ビール中びん1本(約500ml)で呼気中のアルコール濃度が0.15mg/lに達する可能性があります。
飲酒後の時間や体質によっても影響を受けるため、お酒を少しでも飲んだら絶対に運転してはいけません。
アルコール1単位とは?
アルコール1単位とは、純アルコールが約20g含まれる量を指します。アルコール量の計算式は「お酒の量(ml)×(アルコール度数(%)÷100)×0.8となり、例えば、ビール中びん1本のアルコール量の計算は「500ml×(5%÷100)×0.8=20g」となります。なお、酒類ごとの1単位の目安は以下のようになります。
アルコール1単位の目安表

アルコールの分解速度
アルコールの分解速度には個人差がありますが、国土交通省の資料によれば、一般的にはアルコールの分解能力を1時間あたり4gと計算し、摂取したアルコールがその割合で完全に分解されると計算される時間の経過後であれば、アルコールがアルコール検知器で検出される可能性は殆どないと言われています。
例えば、アルコール1単位(20g)を摂取した場合、完全に分解されるまでに5時間かかる計算となります。したがって、飲酒後すぐに運転することを避けるのはもちろん、十分な時間を置いて、アルコールチェックをした後に運転することが推奨されます。
引用:飲酒に関する基礎教育資料(運行管理者)
第二十三条 一般旅客自動車運送事業者は、事業用自動車の運行の安全の確保に関する業務を行わせるため、国土交通省令で定める営業所ごとに、運行管理者資格者証の交付を受けている者のうちから、運行管理者を選任しなければならない。
飲酒運転の防止策としてアルコールチェックが義務化
飲酒運転防止のために、一定の要件を満たす場合、アルコールチェックが義務化されています。企業や団体では、運転前にアルコールチェッカーを使用して運転者の状態を確認する必要があります。このチェックにより、未然に飲酒運転を防ぐことができます。
アルコールチェッカーは、呼気中のアルコール濃度を測定するデバイスが一般的です。使用方法は簡単で、息を吹きかけるだけで数値が表示されます。最近では、スマートフォンと連携するタイプのアルコールチェッカーも登場しており、測定結果をデータとして保存・管理することができます。

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まとめ
飲酒運転は重大な交通違反であり、厳しい罰則が設けられています。飲酒運転を防止するためには、アルコールチェックの徹底が必要です。
飲酒運転は一瞬の判断ミスが重大な結果を招く可能性があります。運転する際には、アルコールを一切摂取しないことが最も安全な選択です。また、同乗者や周囲の人々も、飲酒運転を防止するための意識を高く持ち、共に安全な交通環境を作り出すことが求められます。
運転者のみならず、全ての関係者が飲酒運転防止に努めることで、企業のコンプライアンス向上にも寄与します。何度も言いますが、絶対に飲酒運転は止めましょう。